いらっしゃいませは英語で何て言う?翻訳のプロに聞いてみた

日本を訪れる海外からの観光客は、円安などの影響もあり年々増加しています。

インバウンド需要が増加し続ける日本では、各業界においてさまざまな外国人観光客対応が必要となっている状況です。

特に、飲食店やアパレル店など、外国人観光客が多く訪れるサービス業では、接客英語に関する課題をもっている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、接客の基本である「いらっしゃいませ」から始まるコミュニケーションについて、サービス業者がおさえておくべき英語フレーズについて紹介します。

 

「いらっしゃいませ」は英語で何て言う?

観光地だけでなく、飲食店やアパレル店においても、外国人観光客の来店機会が増え、

英語での接客対応に頭を悩ませていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?

お客様がご来店された際、まずは「ようこそ、いらっしゃいませ!」と、歓迎の気持ちを伝えたいですよね。

さて、この「いらっしゃいませ」というフレーズ、英語ではいったい何て言うのでしょう??

「いらっしゃいませ」は英語で直訳できない?

実は英語では、日本語の「いらっしゃいませ」を直訳できる言葉は、厳密にはありません。
日本では「いらっしゃいませ」が、接客シーンでの決まり文句になっていて、お客様側も特にそれに対して返答する必要を感じません。

一方英語での接客シーンでは、一方的なお声がけという観念はなく、お店とお客様が言葉のキャッチボールを行い、コミュニケーションを図り、声をかけられたら、返答するのが一般的です。

「May I help you?」は飲食店・アパレル店でも使える?

さまざまな場面でよく耳にする「May I help you?(メイアイヘルプユー)」というフレーズは、接客の場面においても一般的に使えるフレーズでしょうか?

直訳すると「何かお手伝いしましょうか?」という意味になりますが、これはどちらかというと、飲食店以外のアパレル店などショップの接客で使われているフレーズです。

商品選びのアドバイスや試着など、スタッフからのヘルプを必要としているお客様もいれば、ウィンドウショッピングを楽しみたいだけである方もいらっしゃいますので「必要があればお声がけください」という意図を含んでいます。

一方、飲食店を訪れるお客様の目的ははっきりしており、「何かお手伝いしましょうか?(May I help you?)」というと、少しまどろっこしい印象になってしまうかもしれません。

 

「いらっしゃいませ」は丁寧な言葉で!

飲食店やアパレル店で「いらっしゃいませ」に相当する言葉は「Welcome」。

「歓迎する」や「喜んで受け入れる」という意味があり、英語圏において、しっかりと接客マナーのトレーニングが行われているお店では、「Welcome」そして「Thank you for coming!(サンキューフォーカミング)」などと続きます。

「いらっしゃいませ」は「Welcome」

「Hello!」「Hi!」といった気軽なあいさつの言葉はカジュアルな印象を与えてしまい、お客様をお迎えする第一声には不向きといえます。

まずは「Welcome」で歓迎の気持ちを表し、(飲食店の場合)その後テーブルにご案内してから「Good morning(グッドモーニング/afternoon(アフタヌーン)/evening)」とごあいさつしてみましょう。

日本ではお客様を敬い、気持ちの良いサービスを提供する「おもてなし」を大切にしています。

英語での接客も丁寧な言葉を使った「人と人とのコミュニケーション」を行うことで、お客様へも誠意が伝わります。

外国人のお客様は、慣れない日本の飲食店やアパレル店を訪れることに、不安を感じていたり、緊張されていたりするかもしれません。

親しみを込めて丁寧な言葉を交わすことで、リラックスしていただき、お食事やお買い物を充分に楽しんでいただくための雰囲気づくりを心がけましょう。

「いらっしゃいませ」に続く接客フレーズ

Welcome!」でお客様をお迎えしたあとに、もう少しフレーズを追加して
コミュニケーションを取ることができれば、外国人のお客様からも好印象!

たとえば、着席してお食事を楽しむレストランであれば、上記で紹介した以下のフレーズがおすすめです。

「Thank you for coming!(サンキューフォーカミング)」

テイクアウトも可能なカジュアルなファーストフード店などであれば、

「May I take your order?(メイアイテイクユアオーダー)」

などです。

英語を話そうとする時、「正しく話さなければ・・・」と身構えてしまい、まったく言葉が出てこない、なんていうこともよくあるでしょう。

正しい言葉を使うことも、もちろん大切ですが、まずはあたたかいおもてなしの心を忘れずに日頃からよく使うフレーズをまるごと暗記してみるのも手です。

「いらっしゃいませ」から始まる接客英語フレーズ例

お客様をお迎えする第一声は「Welcome」で対応できることがわかりましたが、「Welcome!」に対するお客様からの反応や、英語で何かを聞かれた場合、どう答えていいのかわからない方も多いでしょう。

そのような場面であわててしまうことのないよう、飲食店・アパレル店における主な接客英語パターンについて紹介します。

いらっしゃいませ」から始まる飲食店の接客英語パターン

飲食店における主な接客英語パターン・フレーズを紹介します。

(お店)

・いらっしゃいませ。

Welcome.

(お客様)

・予約していませんが、席はありますか?

I don’t have a reservation. Is there a table available?

(お店)

①何名様ですか?

How many people?

②はい、ございます。お席にご案内いたします。

I will show you to your table.

③ただいま満席です。

I’m sorry, there is no table available right now.

④待ち時間は10分です。

The waiting time is approximately 10 minutes.

(お客様)

・英語のメニューはありますか?

Do you have an English menu?

・ベジタリアンの料理はありますか?

Do you have vegetarian dishes?

・ハラールの料理はありますか?

Do you have halal dishes?

(お店)

①はい、ございます。

Yes, we have.

②いいえ、ございません。

I’m sorry, we do not.

(お客様)

・英語が話せる人はいますか?

Is there someone here who can speak English?

(お店)

①はい、1名おります。

Yes, we have one person here who speak English.

②いいえ、おりません。

I’m sorry, there is no one here who speak English.

(お店)

・ご注文をお伺いします。

Are you ready to order?

・お飲み物のサイズをお選びください。

Please choose the size of your drink.

・追加のご注文はありますか?

Would you like anything else?

(お客様)

・〇〇をください。

Can I get 〇〇.

・以上でいいです。

That’s about it.

「いらっしゃいませ」から始まるアパレル店の接客英語パターン

(お店)

・いらっしゃいませ。何かお探しでしょうか。

Welcome. Can I help you something?

(お客様)

・〇〇はありますか?

Do you have 〇〇?

(お店)

・在庫を確認いたします。

Let me see if we have it in stock.

・こちらは現品のみです。(最後の一点です)

Only the display model is available.(This is the last one.)

・こちらの商品はM サイズとL サイズがございます。

This product is available in M and L sizes.

・ご試着なさいますか。

Would you like to try it on?

・他のサイズをお試ししますか?

Would you like to try a different size?

・よくお似合いです。

It looks good on you.

飲食店・アパレル店がするべき外国人観光客対応策

飲食店やアパレル店に外国人観光客が来店した際、上記で紹介した英語フレーズなどを使い、柔軟に対応できることが理想的です。

しかし、「英語が得意なスタッフがいない」場合や「スタッフの英語教育に時間が割けない」場合もあるでしょう。

そのような場合、口頭による接客英語対策だけでなく、以下のような外国人観光客対策を講じることで、スムーズな対応を行いやすくなります。

英語メニューの作成

特に飲食店においては、英語(多言語)に翻訳したメニューの作成が重要です。

翻訳されたメニューを作成しておくことで、どのような料理であるのか伝わりやすくなり、その分接客の手間が省け、接客の効率性が向上します。

また、食品を取り扱う場合、アレルギーやヴィーガンなどの問題・事情もあるため、食品成分表なども翻訳されたものを備えておくと親切です。

マナーや会計方法について翻訳

人気のある店舗の場合、外国人観光客にとって、待機の仕方がわからず混乱する場合もあるでしょう。また、待機マナーが悪く、トラブルとなってしまう場合もあるかもしれません。

そのような場合に備え、店舗のマナーや注意事項などを翻訳した掲示物などを作成しておくと、スムーズな店舗運営およびトラブル回避につながります。

また、会計方法についてもトラブルとなりやすい事項であるため、「支払い方法」や「免税」などについてわかりやすく翻訳しておくと良いでしょう。

店舗サイトやSNSなどの翻訳・更新

より多くの外国人観光客の方に来店してもらうために、集客(マーケティング)は欠かせません。店舗サイトの多言語化や、SNSを活用し、世界中の旅行者にアピールしましょう。

外国人観光客対策にはプロの翻訳会社を活用しよう

飲食店・アパレル店における外国人観光客対策では、翻訳が必要となる場面が多くあります。

特に、食品を取り扱う飲食店、高価なものを取り扱うアパレル店においては、適切なコミュニケーションが取れずトラブルとなってしまうこともあるかもしれません。

円滑な店舗運営とトラブル回避のためにも、ネイティブのプロによる翻訳会社の活用がおすすめです。

最後に

当媒体WorldMenuでは、翻訳のプロが作成した「接客用語集」を用意しております。

上記で紹介した接客英語フレーズ以外にも、飲食店・アパレル店で役立つ接客英語フレーズが多数掲載されているため、その他の接客英語フレーズを知りたい方はぜひダウンロードしてご活用ください。

ABOUTこの記事をかいた人

翻訳監修

セス ジャレット:Seth Jarrett

カナダ出身。翻訳会社のアイ・ディー・エー株式会社に13年以上在籍。翻訳者のクオリティーチェックから英語のリライトまで幅広く対応。自らパンやスイーツをつくる料理人でもある。