近年の日本では、日に日にインバウンド事業が盛んな状況となり、経済効果などプラスとなる面も多い中、「オーバーツーリズム」という“観光公害”も問題となっています。
インバウンド事業には積極的に取り組みたいものの、オーバーツーリズムによるトラブルは回避したいと願う事業者も多くいるのではないでしょうか。
この記事では、オーバーツーリズムによる問題や対策方法について紹介します。
オーバーツーリズムとは
オーバーツーリズム(観光公害)とは、訪日観光客の過度の増加・集中により「混雑」や「渋滞」「マナー違反」などを引き起こしてしまう状況のことをいいます。
オーバーツーリズムは、訪日観光客を受け入れる事業者・地域住民側が被る被害だけでなく、訪れる訪日観光客側にとっても「旅行満足度の低下」を招くなど、双方にとってマイナスとなってしまうこともあります。
オーバーツーリズムによる問題
オーバーツーリズムによる問題はさまざまなものがありますが、中でも「混雑」や「渋滞」などは、地域住民の生活に支障をきたすなど、深刻な問題となっています。
主な事例
「混雑」や「渋滞」による主な事例は以下のとおりです。
- 観光客が多い時期に、公共交通の混雑が発生。沿線住民から、電車やバスを利用しづらいとの声。
- 自家用車や観光バスによる交通渋滞が発生。
- 大型クルーズ船の入港時、多数の観光バスにより市街地で交通渋滞が発生。
- 生活道路や農道への違法駐車により、生活交通への影響が発生。
- 主要観光地へ向かうバスが増便されているものの、これを上回る乗客によりバスターミナルや車内が混雑。また、大型手荷物の持ち込みにより、円滑な運行に支障が発生。
【参考】オーバーツーリズムの未然防止・抑制に関する関係省庁対策会議(第1回)|観光庁
オーバーツーリズムの原因・対策・対処法
オーバーツーリズムによる問題の原因はさまざまですが、主に「事前の対策不足」や「多言語対応や各種ツールの導入不足」が原因として挙げられます。
オーバーツーリズム問題の対策・対処法
インフラの改善などについては、事業者単位で改善・対策することは難しいですが、タクシー事業者や、観光地に携わる事業者などは、「事前予約システム」の導入や「多言語対応」など、比較的取り組みやすい対策を講じることができるでしょう。
・ツールの導入
インバウンド(オーバーツーリズム)対策においても、あらゆる業種において「予約管理システム」や「配車アプリの導入」など、ツールの導入が進んでいます。
「混雑」「渋滞」の緩和を回避し、訪日観光客の「顧客満足度を向上」するためにも、予約管理システムなどの導入は積極的に活用することがおすすめです。
導入例
- タクシー会社が「配車アプリ」を導入する
- 観光施設や観光地における「駐車予約システム」の導入を検討する
- 観光施設や観光地における「混雑状況」を、リアルタイムで発信する(アプリやSNS)
など
・多言語対応
インバウンド(オーバーツーリズム)対策において、多言語対応は欠かせません。
特に混雑や渋滞が多く発生する場所(地域)においては「円滑なコミュニケーション不足」は、さらなる混雑や渋滞を招きかねません。
混雑や渋滞を発生させないための事前勧告や、発生した場合における柔軟な対応において、訪日観光客に伝わる言語で情報などを伝えられる環境を整備しましょう。
- 多言語対応の例
- 観光地や観光名所における混雑情報について多言語で発信
- 「配車アプリ」や「予約管理システム」の多言語対応
など
対策に必要な翻訳は翻訳会社へ依頼しよう
上記でも述べたとおり、インバウンド(オーバーツーリズム)対策において、多言語対応はさまざまな場面で必要不可欠です。
多言語対応が不十分であることにより、コミュニケーション不足や、必要な情報が適切に伝わらず、トラブルに発展してしまう場合もあります。
必要な情報を正確・適切に伝えるためには、ネイティブのプロによる翻訳会社を活用しましょう。
まとめ
インバウンド需要は、本来「地域活性化」や「経済効果」のうえ、訪日した外国人観光客に「満足」してもらい、双方にとってプラスとなることを主な目的とされています。
しかし、過度な観光客増加や、対応・対策不足により、トラブルの発生など、双方にとってマイナスとなる事態を招いてしまう場合もあります。
適切なインバウンド(オーバーツーリズム)対策を実施し、双方にとってプラスとなるようなインバウンド事業の取り組みを行いましょう。
翻訳監修
セス ジャレット:Seth Jarrett
カナダ出身。翻訳会社のアイ・ディー・エー株式会社に13年以上在籍。翻訳者のクオリティーチェックから英語のリライトまで幅広く対応。自らパンやスイーツをつくる料理人でもある。