ヴィーガンとは?〜外国人観光客対応メニューでおもてなし〜

近年、「ヴィーガン」という言葉がより身近なものになりつつありますが、ヴィーガンについてよく分からないという方も多いのではないでしょうか。

また、比較的ヴィーガンの方が多い外国人観光客に対するインバウンド需要を見据え、ヴィーガンの方に対応したメニューなどを用意する飲食店も増えています。

この記事では、ヴィーガン(ベジタリアン)と、飲食店におけるインバウンド対策について解説します。

ヴィーガン(ベジタリアン)とは

 

ヴィーガンとは、完全菜食主義者の方を指す言葉です。

肉や魚のほか、卵や乳製品、はちみつなどの動物由来の食材も口にしません。

ヴィーガンであることを選択する人の背景には、宗教上の理由や、動物愛護、環境保護、ダイエット、美容のためなど、人それぞれさまざまな理由や見解があります。

ベジタリアンの種類

ベジタリアンとヴィーガンは混同されがちですが、「ベジタリアン」(菜食主義者)とは、さまざまなタイプの菜食主義者の総称を指す際に使用される言葉です。

ベジタリアンには、ヴィーガンのほかにもさまざまなタイプがあります。

ベジタリアンの種類

ヴィーガン 「完全菜食主義者」
肉・魚のほか、卵、乳製品、はちみつなども食さない
フルータリアン 「果実常食者」
動物・植物の生命にかかわるものを食さず、果実・種子類を食す
オリエンタル・ベジタリアン ヴィーガンと同じ食生活に加え、五くん(ネギ、ニラ、ニンニク、玉ネギ、ラッキョウ)を食さない
ラクト・ベジタリアン 肉・魚類は食さないが、乳・乳製品は食す
オボ・ベジタリアン 肉・魚類、乳製品は食さないが、卵・卵製品は食す
ラクト・オボベジタリアン 肉・魚類は食さないが、乳・卵は食す
ペスコ・タリアン 肉は食さないが、魚・卵・乳製品は食す
ポーヨ・ベジタリアン 肉類は鶏肉のみ食し、魚・卵・乳も食す
セミ・ベジタリアン(フレキシタリアン) 基本的に植物性食品を食すが、場合によっては肉類も食す

 

また、最近よく聞くようになったベジタリアン、ヴィーガンに似た言葉に、植物由来の原材料を使用しているという意味の「プラントベース(plant-based)」があります。

健康志向や環境保護を主な目的にしており、ベジタリアン、ヴィーガンとは違って、プラントベースの製品は必ずしも動物性のものを含んでいないというわけではないため注意が必要です。

外国人観光客にはヴィーガン(ベジタリアン)が多い?

観光庁によると、日本を訪れるベジタリアン・ヴィーガンの外国人観光客は年間145~190万人、その飲食費は450~600億円と推計されており、多くのベジタリアン・ヴィーガンである外国人観光客が訪れています。

(参考)ベジタリアン・ヴィーガンの旅行者をおもてなし|観光庁

日本の飲食店における課題

観光庁がおこなったアンケート調査によると、多くのベジタリアン・ヴィーガンが訪れている一方で、飲食店においてはさまざまな課題があることがわかります。

外国人ベジタリアン・ヴィーガンの意見(一部抜粋)

  • 「日本はベジタリアン・ヴィーガンに対応した飲食店等の数が少ない」
  • 「インターネットでの情報発信や店舗内外での表示が少なく、飲食店がベジタリアン・ヴィーガンに対応しているかどうか分からない」
  • 「日本で食べたかった食べ物の“ベジタリアンオプション”がなく、食べることを諦めた」

以上のような声から、日本の飲食店はベジタリアン・ヴィーガンに対応した店舗が少なく、情報やメニューが不十分であることが課題といえます。

【参考】ベジタリアン・ヴィーガンの旅行者をおもてなし|観光庁

ヴィーガン(ベジタリアン)の海外旅行における行動特性

ヴィーガン・ベジタリアンの外国人観光客は、日本に訪れた際(海外旅行の際)にどのように飲食店を決めているのでしょうか。

行動特性を知ることで、必要な対応・対策のヒントにつながるため、理解を深めておきましょう。

観光庁によるアンケート調査結果をもとに紹介します。

ベジタリアン等の専門店・対応店であるかどうか

飲食店を決める際、「ベジタリアン等の専門店でなければ入店しない」と回答したのは全体の約2割ですが、「ベジタリアン等の対応店でなければ入店しない」と回答したのは、全体の約5割にのぼり、ヴィーガンの人はさらに強い傾向をもっています。

このことから、「専門店ではなくても、対応店である」だけでも、大きなポイントとなりそうです。

使用する食材が明記されているかどうか

全体の約3割が、「使用する食材がメニューに明記されていないと入店しない」「食材変更リクエストに柔軟でないと入店しない」と回答しており、「使用する食材の明記」や「食材変更」の対応も重要であることがわかります。

ベジタリアン等のサインが表示されているかどうか

全体の約3割が、「ベジタリアン等のサインが表示されていないと入店しない」と回答しており、メニュー表記のほか、サイン表示も大切であることがわかります。

また、日本では野菜を多く使ったヘルシー志向のサラダなどを「Veggi」と表記することも多いですが、誤解を招く可能性もあるので注意が必要です。

日本で食べたいものを諦めるヴィーガン・ベジタリアンも多い

日本食は外国人から人気が高く、「ラーメン」「寿司」「そば」など、日本での食事を楽しみにしている人も多くいます。

ヴィーガン・ベジタリアンに対応したメニューを用意しているお店も増え始めていますが、まだそのような店舗は少なく、日本で食べたいものを諦めている外国人観光客も少なくありません。

【参考】飲食事業者等におけるベジタリアン・ヴィーガン対応ガイド|観光庁

ヴィーガン(ベジタリアン)の外国人観光客に向けた取り組み

より多くのヴィーガン(ベジタリアン)外国人観光客に日本食を楽しんでもらうために、飲食店では、以下のような取り組み・対応が推奨されます。

外国人観光客に向けた取り組み

  • 可能な範囲でのヴィーガン(ベジタリアン)特別メニューの考案
  • 食品成分やヴィーガンサインの表示
  • 従業員のヴィーガン(ベジタリアン)への理解と接客の教育

情報発信も大切

飲食店が積極的にヴィーガン(ベジタリアン)に対応した取り組みをおこなっていても、認知されなければ意味がありません。

公式サイトやSNSなどを通し、ヴィーガン(ベジタリアン)に対応した取り組みについて積極的に発信しましょう。

また、上記のような取り組みをおこなう際、正確な翻訳作業が必要となる場合もあるでしょう。

特に、ヴィーガン(ベジタリアン)の人にとって食品成分表示やアレルギーなどは、正確に伝え、安心して食してもらう必要があります。

間違った情報を伝えてしまわないためにも、翻訳作業は翻訳会社のプロによる翻訳を活用しましょう。

まとめ

飲食店がインバウンド対策を講じる際、「ヴィーガン(ベジタリアン)対応」もひとつの重要な要素です。

より多くの外国人観光客に日本での食事を楽しんでもらえるよう、正しい翻訳を通してさまざまなインバウンド対策およびヴィーガン(ベジタリアン)対応をおこないましょう。