中国語メニューの作り方!繁体字・簡体字の違いと翻訳依頼のコツ

中国語メニュー

グローバル化が進行する中で訪日外国人の数が増えています。今後も入国制限が解除されれば観光客が来日することが予想され、飲食店では外国語メニューを準備するなど、外国人対応の必要性が意識されています。その中でも中国は日本から距離が近く、人口も多く、多くの人が来日している国です。そのため、中国語は英語に次いでニーズの高い外国語であるといえます。

中国語には繁字体・簡字体の2種類の文字があることをご存じでしょうか。中国語メニューを作成する際にどちらを使用すればいいのか悩む飲食店も多いことでしょう。今回は繁体字・簡体字の違いを考慮した中国語メニューの作り方を説明します。

中国語メニューの必要性

中国語メニューの必要性

訪日外国人はそれぞれ旅行やビジネスなどの異なる事情で日本を訪れますが、ほとんどの人はレストランなどの飲食店で食事をとるという点で共通しています。つまり飲食店は日本人と多くの訪日外国人が接する場所であり、外国人にとっては日本という国の印象を左右する重大な機会であると考えることができます。

そのため、外国人が安心して来店することのできる環境づくりを行うことで、顧客の満足度が上がるだけでなく、店の評判も上がり来客数の増加が期待できます。

東京都の調査によれば、都内の飲食店を利用した外国人の36.4%が「メニューに多言語表記がなく、内容が分からなかった」と回答しており、多言語表記のメニューが必要とされていることが分かります。

外国語のなかでも中国語は、英語に次いでニーズの高い言語です。日本語と英語の2カ国語メニューを備えている店が多い現在、中国語メニューもあわせて準備することが他店との差別化になり、人数の多い中国人観光客の満足度向上につながるでしょう。

【参考】訪都外国人への多言語対応に関するWeb調査-東京都産業労働局

中国語メニューの作り方

中国語メニューの作り方

中国語のメニューを作成する場合、どのような点に注意してどのような手順で翻訳を行えば良いのでしょうか。繁体字と簡体字の違いを知るところから、3つのステップに分けて説明します。

Step1.繁体字・簡体字の違いを理解

繁体字・簡体字とは、中国語で用いる表記方法の名称です。かつては繁体字のみが使用されていましたが、1950年代から漢字を覚えやすく簡単にした簡体字が使用されるようになりました。

単純に繁体字から簡体字へと全ての漢字を置き換えているわけではなく、単語や表現方法などが異なる場合もあるため、中国語を使用する人が「簡体字を読めても繁体字は読めない」という場合も多々あります。

繁体字・簡体字のどちらを使用しているかは、国や地域によって分かれており、使用地域は以下の通りです。

 

【簡体字】

中国本土・シンガポール・マレーシア

【繁体字】

台湾・香港・マカオ

Step2.無料の翻訳ツールを使う

中国語表記には2種類あることを理解しました。続いてメニューを中国語に翻訳する際のポイントをお伝えします。

料理名は翻訳ツールを使用してもうまく翻訳されない場合があるため注意が必要です。例えば「かっぱ巻き」を簡体字の中国語に翻訳する場合、無料翻訳ツールを使用すると「黄瓜卷」「卡帕卷」「卷绕」などと翻訳されます。それぞれ全く違うため、どれが適切なのかと迷いますが、実はいずれもかっぱ寿司を正しく表してはいない言葉です。翻訳ツールを使用する際、「きゅうりの巻き寿司」と分かりやすい別の言葉に置き換えてみることで「黄瓜卷寿司」と、正しくどのような料理なのか伝わる翻訳となります。

日本語のメニューでは往々にしてこだわり抜いたユニークな料理名がつけられていることがあります。しかし、外国人向けに表記する際は分かりやすさを重視して素材名と味付け、調理方法などを含んだ料理名にすることも検討してみると良いでしょう。

無料の翻訳ツールを使ってみても、うまく翻訳ができない人、うまく翻訳できているのか分からない人、または翻訳に手間をかけたくない人は次のステップに進んでください。

Step3.翻訳会社に依頼する

普段中国語になじみのない方が無料翻訳ツールで作った文章はどうしても不自然になってしまいます。場合によっては翻訳の文章が不自然であるがために店の信頼を失ったり、品格が下がってしまう恐れがあります。そのため、適切な中国語を用いたい場合は翻訳会社に依頼することがおすすめです。外国人にとって自然な言い回しや、料理をイメージしやすい表現方法のノウハウが蓄積されており、安心して中国語メニューを用いることができます。

翻訳会社に依頼する時のコツ

翻訳会社に依頼する場合、ただ単にメニューを渡して翻訳を任せるだけでは最適な中国語メニューにはなりません。字体の種類や翻訳方法などを決めた上で依頼することが望ましいです。

依頼の際にあらかじめどのようなことを決めておく必要があるのかなど、翻訳会社を活用するコツをお伝えします。

「中国語で」はNG

翻訳会社に「中国語で」とだけ依頼しても翻訳にとりかかることはできません。中国語の中でも簡体字か繁体字かを指定する必要があります。どちらかの字体を選ぶ場合、来店する中国人の出身地に合わせて繁体字・簡体字を選ぶのが一番効率的です。提携先や地域柄などによって来店する客層が偏っている場合は、顧客に対応した字体を選びましょう。どのような料理か伝わりやすいだけでなく、対象の客層を尊重していることが伝わって好評価を得られる可能性もあります。

ターゲット層である中国人客の出身地を限定できない場合は繁体字・簡体字の両方を記載することが理想的です。ただし、繁体字と簡体字をそれぞれ別で翻訳する場合、費用が2倍になってしまうことが考えられます。

簡体字だけ翻訳会社に依頼して、簡体字から繁体字への変換は無料の翻訳ツールにしようと考える方もいるでしょう。しかし、簡体字と繁体字の違いは単純な文字の見た目だけでなく、同じ字でも全く違う意味を持っていたり、中国本土では普通に使える言葉が台湾ではNGワードとされている場合もあるなど、案外互換性が低いです。そのため、適切な表記にするためには両方とも翻訳会社に依頼することをおすすめします。

悩んだときは簡体字

費用面などの制約により片方しか記載できず、来店者の国別の傾向がはっきりしない場合は、読める人の数が多い簡体字を使うと良いでしょう。簡体字の使用人口が14億以上いるのに対し、繁体字の使用人口は3000万人程度であるためです。むしろそれだけ差があるなら、繁体字の記載は不要だと考えるかもしれません。しかし、国の総人口の比率が訪日外国人の比率にそのまま当てはまるわけではないため、注意が必要です。

こちらはそれぞれの国から2019年9月の訪日人数と総人口を表した表です。

訪日人数(人) 総人口(人) 繁体字or簡体字
中国 約65万 約13億9千万 簡体字
台湾 約32万 約2378万 繁体字
香港 約12万 約745万 繁体字
シンガポール 約2万 約563万 簡体字
マレーシア 約2万 約3153万 簡体字
マカオ 約0.5万 約64万 繁体字

【参考】訪日外客統計の集計・発表-日本政府観光局、World Bank Open Data-World Bank

上記の表から、簡体字を使用する訪日人数は約72万人、繁体字を使用する訪日人数は約44.5万人だとわかります。それぞれの字体の総使用人口の差は47倍程度ありますが、訪日人数の差は1.6倍程度であることを考えると、簡体字だけ記載しておけば良いと簡単には言い切れないのではないでしょうか。

まとめ

多数ある翻訳会社の中でもおすすめはアイ・ディー・エー株式会社です。繁体字・簡体字両方の翻訳に対応しており、世界中の翻訳者、翻訳会社とのネットワークがあります。そのため、社内の校正部門でのチェックだけでなく中国語ネイティブによる翻訳チェックもあるため、信頼できるクオリティの翻訳が完成します。

適切な中国語メニューを準備しておくことで、グローバル化に備えた日本のおもてなしを表現しましょう。