翻訳会社の外国人スタッフが報告「新型コロナウイルスによる影響について」

新型コロナウイルス

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大で、世界中で混乱が続いています。
WHO(世界保健機構)が発表している「世界各国の感染者情報」を見てみると
全世界の確定症例数は520万4508ケースに及んでいます。(2020年5月24日現在)

日本でも5月25日には緊急事態宣言が全面的に解除され、
少しずつ日常を取り戻す動きも活発化してきていますが、
まだまだ事態の収束までには長い闘いになりそうです。

このサイトを運営しているアイ・ディー・エー株式会社は、
日本語から英語、英語から多言語への翻訳をベースに
カタログ、マニュアル、WEBなどの翻訳サービスを提供する企業であり、
北米、南米、ヨーロッパ、アジア圏の協力会社は100社以上、
登録翻訳者は国内外合わせて500名以上にのぼります。

世界中の国々の企業や人たちと連携し、日々の業務を行っていますが、
このたびのコロナウイルス禍で、現地の協力会社をはじめ社内スタッフが
どのような状況下に置かれているのか、聞き取り調査を実施。
社内スタッフが取りまとめを行いました。

新型コロナウイルス

各国の新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大への影響は?

コロナウイルス関連の状況報告について、今回ご紹介するのは
カナダ、アメリカ、中国・台湾、韓国、シンガポール(在住・または担当)スタッフの声。

各国の感染者数は、2020年5月24日現在のWHOのデータを元に記載しています。
出典:新型コロナウイルス感染症(COVID-19 ) WHO公式情報特設ページ

カナダの感染状況

●感染者数 82,892人 ●新規感染者数 1,127人  ● 死者数 6,277人

取締役(カナダ・50代男性)の報告

日本(感染者数 16,550人 新規感染者数 14人 死者数 820人)と比較して、
カナダでの感染者や死者数はかなり多く、パンデミック当初はパニックも起こりました。

マスクやトイレットペーパー、洗剤が売り切れる事態が起こりましたが
今は落ち着きを取り戻しています。

ロックダウンは行われず、できるだけ家にいるように推奨されていますが、
営業を許可されているのは、食品と酒販店のみで、ほとんどのレストラン、ヘアーサロン、
映画館、ショッピングセンターは閉鎖。学校は休校しています。
老人ホームも家族の訪問を禁止し、入居者は外出することができません。

カナダでは、マスクを着用する習慣はありませんが、生活様式に変化が見られ、
ショッピングの時にはつけるようになってきました。特に高齢者は顕著です。

営業再開については各州が独自のプランで実施していくことになりますが、
すべてが再開されるまでには、数カ月かかるのではないでしょうか。
残念ながら、カナダの失業率は高く、25%に達しようとしています。
苦境の食品業界を助けるため、政府は内需拡大を推進する考えを示しています。

アメリカの感染状況

●感染者数 1,568,448人 ●新規感染者数 20,475人  ● 死者数 94,011人

社内翻訳スタッフ(アメリカ・男性30代)の報告

基本的には、各州が行動制限に関するルールを決めますが、
多くの州で、不要不急でない仕事や移動は禁止、家を出られない状況です。
学校の授業はヴァーチャルクラスで行われ、卒業式の実施についても
今後議論が続きそうです。

買い物をする時には、前後2メートルの距離をしっかり取って並び、
感染拡大防止に努める人もいれば、真剣に取り合っていない人も。

行動制限に対しては、外出自粛に反対する一部の人たちの間で
デモが起こったのをきっかけに、ルール緩和に向かう動きが出てきています。
多くの人々は、時期尚早だと思っていますが、先行きが気になります。

中国の感染状況

●感染者数 84,525人 ●新規感染者数 3人  ● 死者数 4,645人

社内中国・台湾語の校正スタッフ(日本・女性40代)の報告

これまでの中国は、日本ほど手洗いをする習慣がほとんどありませんでしたし、
痰を吐く、手鼻をかむのも普通でしたので、まずそういうことの禁止から始まり、
手洗いにも熱心に取り組むようになりました。

個人レベルでの感染拡大防止対策も行っていますが、
行政側や会社単位で、施設の消毒や検温を徹底しています。
会社や工場など、出入り口は指紋認証によって管理されていましたが、
今はほぼ使用禁止にしているようです。

たとえば、営業が再開されたホテルでは従業員はマスク着用。
入口やフロントにアルコール消毒液や使い捨てマスク、体温計、
ティッシュを常備するようになりました。

お客様がホテル内にいる時間帯であっても、数時間ごとに消毒作業をして回ります。
中国では、お客様が見ている前で行動して感染予防の徹底をアピールし、
食事は少人数に制限したレストランかルームサービスで提供されます。

生活様式にも変化が見られるようになりました。
中国でも、「取り箸」を使うようになったのです。
実は「取り箸」という中国語「公筷」を今回初めて知りました。
中国料理って、大皿料理をみんなで取り合うのに、
友達同士や親しい間柄だと、取り箸をわざわざ用意するなど
他人行儀なことはしませんでした。今は使うよう奨励されてます。

韓国の感染状況

●感染者数 11,190人 ●新規感染者数 25人  ● 死者数 266人

社内ディレクター(韓国・男性30代)の報告

韓国での新型コロナウイルス感染症対策には、以下のような
「守るべきルール」と「NGとされる行為」があります。

守るべきルール 
・外出時マスク着用
・咳エチケット
・手洗い徹底
・握手を控える
・コロナと疑われる症状が出た場合は病院に行かず政府機関(1339)に電話する

NGとされる行為
・鍋料理を小皿に分けずに多人数が一緒に食べること
・向かい合って食事をすること

食堂には、隣との席の間に仕切り板を設置したり、マンションやホテルなど、
大勢の人が触るエレベーターボタンやドアの取っ手にも、
抗菌シートフィルムを張り付けているのをよく見かけます。

シンガポールの感染状況

●感染者数 31,068人 ●新規感染者数 642人  ● 死者数 23人

学校教師(シンガポール・女性30代)の報告

シンガポールは他人と1メートル以上離れないと10,000シンガポールドルの罰金、
また、ソーシャルディスタンスを保つためのテーブルやいすなどの
マーキングを無視して座ると300シンガポールドルの罰金が課せられます。
(1シンガポールドルは、75.88円、2020年5月26日現在)

政府の対応はかなり厳しいもので、息苦しさを感じることもありますが
同時に、感染拡大防止に繋がっていることに感謝しています。

各国の社内スタッフから見た日本のコロナウイルス対策への印象は?

WHOの国・領域別 COVID-19確定例数、および感染拡大状況のデータで比較してみると
北米地域やヨーロッパ諸国にくらべて、日本の感染者数や死者数は圧倒的に少ない印象です。

弊社の各国スタッフの日本に対する印象をまとめてみました。

取締役(カナダ・50代男性)
日本では、握手やハグ(挨拶で抱き合う)をほとんどしないし、
風邪やアレルギー対策にマスクをする習慣がありますね。
北米や欧州では、身体を接触することが多いですし、マスクをつける文化はありません。
このような背景は、今回のウイルス感染症をコントロールすることを難しくしています。
カナダでも日本の安倍首相がマスクを着けているニュースを見かけます。
安全な規則に従っているという印象を持ちます。

社内翻訳スタッフ(アメリカ・男性30代)
アメリカにくらべて、日本の新型コロナウイルスへの対策は緩いような気がしますが、
日本では衛生管理がしっかりしているので、今後海外から日本へ来る人たちからも
一定の信頼感が得られるのではないかと思っています。

社内中国・台湾語の校正スタッフ(日本・女性40代)
日本ではお客様の前で掃除したり、露骨に消毒したりするのは
失礼だという考えもありますが、中国のように露骨にしなくても
感染拡大予防をしっかり行っていることを、もっとアピールしてもいいのでは?

学校教師(シンガポール・女性30代)
ホテルやレストランでは席数を減らして、ソーシャルディスタンスを保ちながらも
日本らしい丁寧なおもてなしで、安全な距離を誘導できるといいのではないかと思います。

感染拡大防止対策をしっかり行い、次なるパンデミックに備えましょう!

日本では世界各国で見られるような厳しいロックダウンは行われず、
5月25日には全国的に緊急事態宣言は解除され、
新型コロナウイルスによる感染拡大の第一波のヤマは越えたかの印象を受けます。

とはいえ、予防ワクチンや治療薬など、確固たる解決策はまだ模索中であり、
秋以降は再び感染拡大が懸念されます。
今回、会社としてもお客様や従業員の安全のため、テレワークを推進し、
様々な感染拡大予防に努めてきましたが、今後も安心・安全を考慮しながら
日々の業務に取り組んでまいります。

新型コロナウイルス感染予防ピクトグラムを活用できます

全国に先駆けて大阪府は5月21日に「緊急事態宣言」が解除され、
商業施設や飲食店、各企業でも営業再開に向けた動きが本格化してきました。

まだまだ余談を許さない新型コロナウイルスの感染防止を推進するため、
大阪府産業デザインセンターでは、商業施設や公共施設などで自由に使用できる
新型コロナウイルス感染予防ピクトグラム」が作成され、
アイ・ディー・エー株式会社は、翻訳業務を担当させていただきました。

ピクトグラムの利用は無料ですので、下記よりダウンロードして有効にご活用ください。
(営利目的での使用はご遠慮ください)

新型コロナウイルス感染予防ピクトグラムのご提供について(大阪府ホームページ)

 

 

 

ABOUTこの記事をかいた人

翻訳監修

セス ジャレット:Seth Jarrett

カナダ出身。翻訳会社のアイ・ディー・エー株式会社に13年以上在籍。翻訳者のクオリティーチェックから英語のリライトまで幅広く対応。自らパンやスイーツをつくる料理人でもある。