翻訳会社のISO17100認証基準とは?信頼できる理由を解説!

翻訳会社のISO17100認証基準とは?信頼できる理由を解説!

「ISO17100」とは翻訳サービスについての国際規格です。

翻訳会社を探しているときに「ISO17100」という認証基準を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

ここでは「ISO17100」を取得している翻訳会社が信頼できる理由を詳しく解説します。

翻訳会社のISO17100認証とは?

従来、翻訳サービスを提供する会社の品質基準を定めるルールはなく、翻訳サービスを利用したいという利用者にとっては翻訳会社の善し悪しがわからず、選びにくい状態でした。また、逆をいえば翻訳サービスを行う会社にとっても、翻訳品質、管理体制の良さをアピールできる指標がありませんでした。

現在は、第三者となる認証機関が翻訳サービスを利用したい顧客の代わりに翻訳会社の審査を行い、ISO17100という認証を付与できるようになりました。ISO17100で認証されるためには、リソースおよび翻訳プロセスが高品質を実現し得るものであるかを明示しクリアする必要があります。そのため、顧客は信頼できる翻訳会社を見つけ出しやすく、また翻訳会社は品質の良さをアピールできるようになりました。年に一度、審査があるため、翻訳サービス提供者側は継続的にサービス改善に取り組むことになります。

引用:日本規格協会グループ

そもそもISOとは

ISOとはInternational Organization for Standerdiation(国際標準化機構)というスイス・ジュネーブに本部を置いている非政府機関のことです。ISOは国際的に通用する規格の制定を行っており、ISOが制定した規格を「ISO規格」といいます。ISO規格があることで、モノやサービスの品質やレベルに国際的な基準が生まれ、取引がスムーズになります。ISO規格の制定や改定は参加国(2022年現在)の投票によって決まります。日本も参加国のうちの1つです。ISOの例の1つがカード。世界中どこに行っても同じクレジットカードを使えるのも、カードのサイズなどが規格で定められているからです。このカードの例は製品そのものを対象とした「モノ規格」と呼ばれています。

一方、翻訳サービスのように組織の品質活動や環境活動を管理するための仕組み(マネジメントシステム)について定められた規格を「マネジメント規格」と呼んでいます。ISO17100はこの「マネジメント規格」のうちの1つで、安定した翻訳品質を提供するために翻訳サービスをおこなう会社や組織が備えておく必要がある事柄を規定しています。

2021年に日本産業規格となった

JISという規格もよく耳にするのではないでしょうか。JIS規格は「Japanese Industrial Standerds」の頭文字からきており、日本産業規格のことです。JIS規格は工業標準化法に基づいていましたが、2019年7月を境にデータ、サービスの標準化も含めた産業標準化法に名称が変更になっています。

ISO17100は2015年に制定され、2017年に追補が発表されたのち、産業標準化法に基づいて2021年3月にJIS Y 17100として日本産業規格となりました。日本の産業規格として定められたことにより、国内でのISO17100への認知も高まり、今後さまざまな翻訳依頼においてISO17100の品質基準を満たしていることを条件とするクライアントが増加するのではないかと考えられます。

翻訳会社のISO17100認証基準(要求事項)

ISO17100の認証は、取得から1年後と2年後にある「維持審査」と、取得から3年後にある「更新審査」があります。更新審査通過後、また同様に1年後と2年後は「維持審査」、3年後は「更新審査」となる3年更新です。

ISO17100で定められている翻訳ワークフローは以下の表の通りです。人的資源(翻訳者、バイリンガルチェック担当者、プロジェクトマネージャー)、技術的資源、および業務プロセス(準備段階、制作段階、制作後)に対する要求事項が規定されています。それぞれの規定を詳しく見てみましょう。

引用:日本規格協会グループ

人的資源

翻訳の実務者(翻訳者、バイリンガルチェック担当者)に必要な力量や資格が規定されています。

力量については以下の通りです。

  1. 原文の内容を理解し、訳文に変換する能力
  2. 原文言語を理解し、訳文を流暢に用いる能力と訳文作成の知識
  3. 専門知識と調査能力
  4. 言語の文化的価値体系や最新用語を的確に理解し使用する能力
  5. ツールやITシステムを駆使して訳文を生成する能力
  6. 原文を理解し、適切なスタイルや用語を用いて訳文言語で再現する能力

資格については以下の通りです。

  1. 認定された高等教育機関の翻訳、言語学、言語の研究又はそれと同等の認定された高等教育機関の有意な翻訳訓練を含む学位を得ていること
  2. 認定された高等教育機関の他の翻訳以外の学位を取得していること、及び専業専門家として2年の翻訳経験に相当するもの
  3. 専業専門家として5年の翻訳経験に相当するもの

なお、ISO17100は人力での翻訳について規定しており、機械翻訳については対象外となります。

技術的資源

整備すべき翻訳に必要な機器、管理システムなどが規定されています。

業務プロセス

業務プロセスは準備段階、制作中、制作後に分けられます。

制作準備段階のプロセス

問い合わせから見積り、業務遂行におけるクライアントと翻訳サービス提供者での合意事項確認、プロジェクトの準備までとなります。

制作後プロセス

制作後はクライアントからのフィードバック処理、および業務終了にあたっての記録やデータ保存などについてプロセスを整備するよう定められています。

翻訳依頼はISO17100認証を取得したアイ・ディー・エー株式会社へ

翻訳依頼はISO17100認証を取得したアイ・ディー・エー株式会社へ

国内に数多ある翻訳会社や翻訳サービス提供者のうち、2021年現在ISO17100認証を受けた翻訳会社は50社程度にとどまっています。

アイ・ディー・エーは2017年に取得し、案件の問い合わせから納品後における対応まで自社で対応可能かを見極めたうえで、責任をもって翻訳サービスを提供しています。また、アイ・ディー・エーでは情報セキュリティマネジメントシステムの認証ISO27001も取得し、昨今多く発生しているサイバーテロなどからお客様の大切な情報を守るため、危機感をもってセキュリティ対策にも取り組んでいます。

アイ・ディー・エーではお客様のニーズに寄り添い、高品質であることはもちろん、フレキシブルな対応が可能です。翻訳依頼がありましたらぜひ一度ご相談ください。

まとめ

ここまでISO17100の認証基準と、信頼できる理由について説明しました。

2021年にJIS Y 17100が制定されたことにより、日本国内でのISO17100への認知も拡大していくと考えられています。それにより、今後ますます国際基準を満たした翻訳が求められる機会が多くなるでしょう。翻訳を依頼する際には、第三者機関により高品質な翻訳が提供できるリソースと管理体制へのチェックがされているISO17100認証を取得した翻訳会社への依頼をおすすめします。