英語、スペイン語、フランス語圏はどこ?各国での違いや特徴を解説

英語、スペイン語、フランス語圏はどこ?各国での違いや特徴を解説

さまざまな国や地域で使われている英語、スペイン語、フランス語。

日本語の中にも方言やなまりがあるように、国や地域が違えば同じ言語でも使い方や発音に違いがあります。

本稿では英語、スペイン語、フランス語が主に使われている国や地域とそれぞれの特徴について紹介します。

英語

英語

「英語を話せるようになると、世界の10億人と話せるようになる」と言われているほど、英語が話される国や地域は多いです。そして話される国や地域によって発音やスペルなどに違いがあります。

それぞれの国や地域の英語の特徴を見ていきましょう。

アメリカ英語

アメリカ英語が話されるのはアメリカだけでなく、ジャマイカやフィリピン、日本、韓国なども含まれます。

日本人は義務教育などで聞きなじみがある点から、英語を学ぶならアメリカ英語が最も学びやすいでしょう。

また、アメリカの映画、音楽などのカルチャーが世界中に浸透したことにより、世界共通認識の英語は今やアメリカ英語となりつつあります。

そしてアメリカ英語独特のものとして、「スラング(俗語)」が流行に伴って生み出されているということも特徴のひとつです。

インターネット文化の発展とともに、若い世代を中心にネットスラングなどがどんどん生み出されています。

イギリス英語

イギリス英語が話されるのはイギリス、アイルランドやマルタ、オーストラリア、ニュージーランド、アフリカ諸国、香港など。

かつてのイギリス植民地であった場所で使われており、世界中の多くの場所で使われています。

「クイーンズ・イングリッシュ」とも呼ばれるイギリス英語は音がクリアに発音されることが特徴です。

カナダ英語

カナダ英語はなまりが少ないといわれています。

カナダは元々イギリスの植民地であった過去と、その後アメリカからも亡命した人々がいたことなどの歴史的背景から、イギリス英語とアメリカ英語の両方の特徴を組み合わせた英語であることが特徴です。

また、カナダのもう一つの公用語であるフランス語からも影響を受けている言葉もあります。

歴史的要因や、地理的要因などから単語によってはイギリス英語と同じものとアメリカ英語と同じものに分かれています。

例えば、小切手をあらわす単語はイギリスの金融機関の名残で “cheque”(アメリカ英語ではcheck)が使われており、バーベキューもカナダでは “barbeque”、アメリカでは”barbecue”と異なります。

オーストラリア・ニュージーランド英語

オーストラリアやニュージーランドで話される英語はイギリス英語の影響を色濃く受けている一方、発音や表現は現地独特のものが話されています。

例えば、オーストラリアの英語では “today”が「トゥダイ」のように発音されることが有名です。

また、ニュージーランドではイギリス英語を土台にしつつ、現地先住民である「マオリ族」の言葉に影響されている独自の表現もあります。

スペイン語

スペイン語

スペイン語は英語、中国語、ヒンディー語に次いで世界中での話者の数が多いとされている言語です。

スペイン本土のみでなく、中南米の多くの国でもスペイン語が使われています。

スペイン語は、大きく2つに分けられます。

  • カステジャーノ:スペイン本土で標準的に使われている
  • エスパニョール:中南米諸国で使われている

それぞれの違いについて見てみましょう。

スペイン(カステジャーノ)

スペインで標準的に使われているスペイン語をカステジャーノと呼んでいます。

標準的なカステジャーノでは「君たち」を表す単語が “vosotros”であるのに対し、中南米では “ustedes”を使うことが多いです。

“ustedes”はスペインで使うと「あなたたち」と訳され、敬語にあたる表現となります。

スペイン語は主語によって動詞の活用も異なるため、カステジャーノを使う場合にはより多くの活用を覚えなければなりません。

また、発音についてもカステジャーノでは「ce, ci」「za, ze, zi, zo, zu」の音を英語の「th」のように舌を噛むように発音します。これはceceoと呼ばれます。

中南米(エスパニョール)

中南米がかつてスペインの植民地だった時代に受け継がれたスペイン語が、それぞれの地域で進化を遂げたものが中南米式のスペイン語です。ここではまとめてエスパニョールと表現しています。

それぞれの国による違いもあるため中南米でひとまとめにするのも難しく、それぞれの地域によって少しずつ差があるのが現実です。

発音については先ほど説明したカステジャーノとは異なり、中南米で話されるスペイン語では「ce, ci」「za, ze, zi, zo, zu」の音を「sa, se, si, so, su」のように発音します。これをカステジャーノで説明したceceoと比較してseseoと呼んでいます。

語彙にも違いがあるため、例を確認しましょう。

スペイン 中南米
coche carro/auto/automóvil
携帯電話 teléfono móvil celular
バナナ plátano banana
ジュース zumo jugo

ここでは中南米とまとめ書き方をしましたが、語彙には国によっても違いがあるため、実際に訪れる国ややり取りをおこなう国の単語を覚える必要があります。

フランス語

フランス語

世界でフランス語を公用語としている国は約30ヵ国とされており、話者の多さは世界で5番目。

フランスがかつてアフリカの西北部を植民地にしていた歴史的背景などから、アフリカでの話者が多いです。

今後アフリカの人口増加を考えると世界中でのフランス語話者の数は増えることが予想されています。

また、国連などの国際機関の公用語にもなっているメジャーな言語です。

フランス

フランスの公用語はフランスの憲法によって定められており、フランス語が唯一の公用語です。

標準フランス語がフランス国内において最も多く話されていますが、もともとフランスには地域に結び付いた少数言語・少数文化が数多く存在している背景があり、地方によって多数の地域言語があります。

カナダ

カナダの第二公用語はフランス語となっており、主にモントリオールのあるケベック州ではフランス語が公用語。

カナダの中でもブリティッシュコロンビア州では英語が公用語となっており、フランス語が使われていない地域もあります。

しかし、道路標識などは英語とフランス語両方の表記が定められており、商品ラベルなども両方の言語が表記されるのが一般的です。

また、国歌も英語とフランス語で1回ずつ、あるいは前後半で分けて流されることが慣例となっています。

ケベック州のフランス語は「ケベックワ」と呼ばれ、フランス本土のフランス語とはアクセントや意味合いに違いがあります。

英語の影響を強く受けた「ケベックワ」はフランスで通じないことも。

また、近頃のフランス語が英語の表現を交えたものに進化しつつある中、「ケベックワ」では英語をフランス語に直訳した表現や、古いフランス語をそのまま使った表現などが使用されていおり、フランス本土で話されるフランス語とは異なるものが多くあります。

ベルギー

ベルギーの公用語は、フランス語、オランダ語、ドイツ語の3つの言語です。

  • フランス語:首都ブリュッセル及びベルギーの南半分の地域で話されており、人口の約40%を占めています。
  • オランダ語:ベルギーの北半分の地域で話されており、人口の約60%を占めています。
  • ドイツ語:東側のドイツ国境付近でのみ話されており人口のたったの1%ほどしか話されていません。

ベルギーで話されるフランス語も地域によってなまりが異なります。

フランスで話されるフランス語とアクセントに大きな差はありませんが、「R」の音が強く発音されるのが特徴です。

また、一部表現にベルギー独特のものがあります。

【食事についての表現】

フランス ベルギー
朝食 le petit-déjeuner déjeuner
昼食 déjeuner le dîner
夕食 le dîner le souper

ベルギーでle dînerに誘われたら昼食へのお誘いとなります。間違わないように気を付けましょう。

ちなみにフランスでle souperは夜食を意味します。

【数字についての表現】

フランス ベルギー
70 soixante-dix(60+10) septante(sept=7)
80 quatre-vingts(4×20) huitante(huit=8)
90 quatre-vingt-dix(4×20+10) nonante(neuf=9)

フランスの数字の表現はかなり複雑なルールがありますが、ベルギーでの数字の表現はシンプルです。

スイス

スイスの公用語は、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つです。

フランス語はドイツ語の次に多く話されています。

スイスのフランス語圏の学校の多くでは、ドイツ語と英語も学ぶため、若い世代は3ヵ国語を話せるマルチリンガルがほとんどです。

フランス本土との表現の違いについては先ほどベルギーのフランス語で紹介した食事と数字の表現が同様に当てはまります。(スイスはベルギーと同様の表現です。)

発音や、アクセントの位置にも違いがありますが、ケベックのフランス語ほどの違いはありません。

まとめ

英語、スペイン語、フランス語圏についてと、各国での特徴について説明してきました。

どの言語も、話される地域や国が変われば発音やアクセントは少なからず変化し、言語によっては意味が大幅に変わることもあります。

言葉は常に変化をしており、その地域で独特の進化を遂げていきます。

翻訳が必要となる場合には、どの地域をターゲットにしたものにするのかを事前に決めた上で、その地域の言語に合わせた翻訳をするか、ターゲットとなる地域が決まっていない場合にはその言語の世界で最も標準的な表現に合わせましょう。

さらに、翻訳する内容にも適切な表現を使いましょう。

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