日本の伝統文化のひとつである着物は、外国人からも人気があり、インバウンド需要が盛んな観光地では、外国人観光客が着物を着ている姿も多くみられます。
着物を活用したインバウンドの代表といえば「レンタル着物」が人気ですが、それだけではありません。
この記事では、着物とインバウンドの関係や、インバウンド対応策などについて解説します。
着物は外国人観光客からも大人気
日本の伝統衣装である着物は、現代の私たち(日本人)にとっても特別な衣装であり、外国人観光客からも関心が高く、人気です。
外国人観光客からみた「日本の着物の魅力」について解説します。
日本の着物の魅力
日本の着物には、以下のような魅力があるため、多くの外国人観光客から「見てみたい」「着てみたい」などの関心を集め、魅了しています。
【日本の着物の魅力】
- 四季折々の鮮やかな柄
- 伝統技法や職人技
- 姿勢や気持ちが引き締まる
日本の着物には、春を表す桜や冬を表す松など、四季折々の柄が施されており、季節にあった柄を選び、四季を楽しめるという特徴をもっています。
また、着物には主に「織りの着物」と「染めの着物」の伝統的な2つの技法や「京友禅」「加賀友禅」「東京友禅」など、その土地で生まれた伝統技法など、さまざまな技法や文化があり、着物の技法を通してより日本文化を深く理解することができます。
さらに、着物を着ると、姿勢が正され、身も心も引き締まり、着物着用時のマナーや立ち振る舞いを身につけることで、より体験的な日本の心を感じることもできるでしょう。
外国人に人気の着物体験
日本を訪れる外国人観光客の中には「日本に来たらやっぱり着物を来てみたい」と考えている人も多くいます。
外国人観光客に人気のある代表的な着物体験は「着物レンタル」と「着物着付け体験」です。
着物レンタル
着物レンタルとは、豊富な種類の着物から好きな着物を選び、1日(例:午前来店、夕方返却)着物を着用して観光・散策・撮影できるサービスです。
希望やプランに合わせて、着付けだけでなくヘアセットもしてもらえるところが一般的です。
着物着付け体験
着物着付け体験とは「自分で着物を着られるように」着付けを学ぶ体験です。
レンタル着物の場合、基本的に専属スタッフによって着物を着付けてもらいますが「本格的に着物の着付けを学びたい人」や「自分で着物を着てみたい人」などに人気があります。
外国人観光客に大人気のレンタル着物体験とは
レンタル着物店は全国各地にありますが、特に、京都や東京(浅草)など、外国人観光客に人気のある観光都市・地域では、レンタル着物を着用した外国人観光客が多くみられます。
レンタル着物体験の魅力・メリット
レンタル着物体験には以下のような魅力やメリットがあります。
「着物を着ること」を低価格で体験できる
着物を着るために、自身で着物一式を購入しようとした場合、大きな費用がかかり、外国人観光客の場合、自国に持ち帰ることも大変です。
レンタル着物の場合、値段はプランによってさまざまですが、カジュアルな着物の場合、3,000円〜5,000円でレンタルできる場合もあります。
着物のランクや、ヘアセット、撮影など、さまざまなオプションを考慮したとしても、着物を一式購入するよりも安く抑えられるため、気軽に着物を楽しむことができます。
豊富な種類から自分好みにカスタマイズできる
レンタル着物店では、豊富な色や柄の着物が揃っており、帯や帯締めなどの小物類も、たくさんの種類の中から選ぶことができます。
そのときの時期(季節)や、観光地の雰囲気、気分に合わせて自分好みに着物のコーディネートが組めることも、レンタル着物の特徴・メリットです。
観光地で日本らしい思い出が残せる
旅の思い出の記録に「写真」は欠かせません。
着物を着て写真を撮ることで、より一層風情のある「日本らしい写真」を残すことができます。
レンタル着物は、時間内に返却すれば良いため、時間内であれば、どれだけでも自身で撮影可能であることもメリットのひとつと言えます。
また、スタジオで本格的な写真を残したいという人には、スタジオ撮影付きのプランを用意しているレンタル着物店もあり、プロのカメラマンによる本格的な写真を残したい人にもおすすめです。
レンタル着物体験における外国人対応の注意点
さまざまな魅力やメリットのあるレンタル着物ですが、外国人観光客対応において、トラブルにつながりやすい注意すべき点もいくつかあります。
レンタルプラン・サービス内容の確認
レンタル着物店の多くは、さまざまなプランが用意されています。
プランの種類が多く、複雑であるため、レンタル可能な着物の種類や、ヘアセットの有無など、外国人観光客が予約時に正しく理解できていない場合もあるかもしれません。
また、来店時間と返却時間の徹底、キャンセル規約、その他の店舗の注意事項など、トラブルとならないように、確認することが重要です。
着物の取り扱い方
普段着慣れていない着物は、外国人観光客にとって、動きづらく、扱いにくいものです。
「食事時の袖の扱い方」や「トイレの入り方」など、特に注意すべき点を理解していないと「着崩れ」や「汚れ」など、双方にとって残念なトラブルとなってしまいます。
着物着用時の注意事項は徹底して、伝えるようにしましょう。
着物着付け体験も外国人観光客に人気
すでに一度レンタル着物体験をしたことがある外国人観光客や、着物に対する強い関心がある外国人観光などには、レンタル着物だけでなく着物着付け体験も人気があります。
着物着付け体験の魅力・メリット
着物着付け体験には以下のような魅力やメリットがあります。
自分で着物を着られるようになる
着物着付け体験を通し、着物の着方を習得した場合、自分で着物が着られるようになり、自国でも着物を着ることができます。
現代では、着物の着付けもYouTubeなどを活用して独学することも可能ですが、なかなか実践しづらい部分もあるため、本場の日本で、プロ講師に直接教えてもらう方が効率的に身につき、思い出にもなるでしょう。
着物の歴史や文化をより深く理解できる
コースにもよりますが、着付け体験(教室)では、着物の歴史や伝統を学ぶこともできるため、着物についてより深く知識を身につけられます。
日本文化の伝統や歴史に興味・関心が強い外国人観光客にとって有意義な体験となるでしょう。
着物着付け体験における外国人対応の注意点
さまざまな魅力やメリットのある着物着付け体験ですが、外国人観光客対応において、トラブルにつながりやすい注意すべき点もいくつかあります。
体験内容の確認
着物着付け体験には、1日お試し体験など、外国人観光客向けのプラン・コースのほか、本格的にレッスンを重ねていくプラン・コースもあります。
体験・プラン内容によって、習得できる内容や料金もさまざまであり、また「レンタル着物」と勘違いして予約してしまう外国人観光客もいるかもしれません。
予約時に誤解がないか確認することが大切です。
着物×インバウンド対策とは
着物を活用したインバウンドを成功させるためには、適切な対策を取ることが大切です。
公式サイト・SNSを多言語化して活用する
着物×インバウンドを成功させるためには「世界中に発信する」ことが大切です。
日本旅行を検討している外国人観光客に対してアピールできるよう、公式サイトやSNSを活用して、着物および店舗の魅力を発信します。
この際、多言語に対応していることが重要です。
また、着物は鮮やかで「映える」ため、SNSとの相性が非常に良いです。
「鮮やかな着物の写真」とハッシュタグを活用して積極的に発信しましょう。
サービス説明や注意点などを多言語で対応できるようにする
上述したように、サービス内容や、着物の取り扱いにおいて、トラブルが発生することもあります。
そのようなトラブルを回避するために、サービス説明や注意点などを多言語で対応できるようにしておきましょう。
英語が話せるスタッフの確保が難しい場合でも、サービス説明や注意点などを多言語化(翻訳)した説明書を用意しておくと効果的です。
着物×インバウンド対策はプロの翻訳会社にお任せ
着物×インバウンド対策では「多言語対応(翻訳)」を中心とした取り組みが重要です。
着物の魅力をより多くに人に伝えつつ、トラブルを回避するためには、ネイティブによるプロの翻訳会社を活用しましょう。
まとめ
インバウンド需要が急増する中、着物の需要は今後もさらに増え、着物がますます外国人観光客にとって身近なものとなることが予想されます。
適切なインバウンド対応・対策を行い「着物×インバウンド」を成功させましょう。
翻訳監修
セス ジャレット:Seth Jarrett
カナダ出身。翻訳会社のアイ・ディー・エー株式会社に13年以上在籍。翻訳者のクオリティーチェックから英語のリライトまで幅広く対応。自らパンやスイーツをつくる料理人でもある。