近年、従来のレンタサイクルに加え、シェアサイクルなどの「シェアリングサービス」が急増中です。
レンタサイクルやシェアサイクルは、訪日する外国人観光客の利用率が増加傾向にあり、インバウンドにおいて高い需要が期待できます。
この記事では、外国人観光客がレンタサイクルやシェアサイクルを利用するメリットや、インバウンドにおける活用方法について解説します。
レンタサイクル・シェアサイクルは外国人観光客からの需要も高い

主に、レンタサイクルは島や観光地でのアクティビティとして、シェアサイクルは街中などの移動手段として活用されています。
外国人観光客がレンタサイクルやシェアサイクルを利用する背景・理由はさまざまですが、特に欧米では「環境問題」に対する意識が高く、シェアサイクルが主流となっていることもインバウンド効果につながっているかもしれません。
レンタサイクルとシェアサイクルの違い
レンタサイクルとシェアサイクルの大きな違いは、返却場所です。
レンタサイクルは、基本的に自転車を借りた店舗に返却しますが、シェアサイクルは使用するサービスが提供するいずれかの「サイクルポート」に返却します。
また、レンタサイクルは比較的長時間の利用が基本となりますが、シェアサイクルは30分単位など、短時間・近距離の利用も可能です。
外国人観光客がレンタサイクル・シェアサイクルを利用するメリット

外国人観光客がレンタサイクル・シェアサイクルを利用するメリットには、主に以下の点が挙げられます。
【レンタサイクル・シェアサイクルを利用するメリット】
- 電車などの複雑な乗り換えがない
- 近距離移動に便利
- アクティビティ感覚で楽しめる
- 環境にやさしく健康的
電車などの複雑な乗り換えがない
旅行時の移動手段にはさまざまな選択肢がありますが、特に都市部の電車の乗り換えは外国人観光客にとってハードルが高いようです。
近距離の移動であれば、場合によっては電車に乗るよりも、自転車で移動した方が早く、簡単に移動できる場合もあります。
電車の複雑な乗り換えにストレスを感じたくない外国人観光客にとって、サイクルサービスはメリットといえるでしょう。
近距離移動に便利
旅行時の観光スポットの移動では「電車で行くと遠回り」「電車が通っていない」「バスでしか行けない」「歩くには遠い」「タクシーは高い」などの場面が発生しやすいです。
シェアサイクルは近距離移動に適しているため、そのような場面で有効的であり、時間の短縮や料金の節約につながるメリットがあります。
アクティビティ感覚で楽しめる
「島一周サイクリング」など、レンタサイクル自体がアクティビティとなっている場合もありますが、観光地でレンタサイクルを借りる場合や、街中でシェアサイクルを利用する場合の、移動手段としてのサイクルサービスであっても、初めて訪れる場所を自転車で移動すること自体が新鮮であり、電車や車移動では発見できないような発見があるなど、アクティビティ感覚で楽しめるというメリットもあります。
環境にやさしく健康的
自転車は環境にやさしい乗り物です。
車や電車の代わりに自転車移動を選択することは、環境にやさしいだけでなく、体を動かすため、旅行時の運動不足の解消や健康維持にもつながるメリットがあります。
外国人観光客に人気!サイクルツーリズムとは

サイクルツーリズムとは「自転車を活用した観光」を意味します。サイクルツーリズムにはさまざまな種類がありますが、インバウンドとして運用されている種類は大きく分けて「企画型」や「ツアー型」などのサイクルツーリズムです。
主に旅行会社やレンタサイクル店、イベント企画・運営会社などが企画・手配したツアー、イベントでサイクリングを楽しみます。
外国人観光客に人気があるサイクルツーリズムの例
日本の各地でサイクルツーリズムが年々浸透してきており、今後もますます需要が増えていくことが期待されます。
【サイクルツーリズムの例】
- 海外のサイクリストをターゲットとしたイベントの開催
- 湖1周サイクリングツアーのアプリ(多言語)をリリース
- 世界遺産の地での里山サイクリング
など
日頃から母国でもサイクリングを楽しんでいる外国人観光客の中には、自身のバイクを持参する人もいます。
そのような外国人観光客には、専門的なサイクリストイベントの開催などがインバウンドにつながるでしょう。
また、アクティブにサイクリングを楽しみたい外国人観光客に向けた、コースマップを搭載した多言語対応アプリのリリースも有効的です。
さらに、日本を訪れる外国人観光客に、日本の田舎(里山)や歴史的建造物、世界遺産は人気であるため、そのような地でレンタサイクルプランを展開することも、インバウンドとして人気があります。
レンタサイクル×インバウンドで成功するには

レンタサイクル(シェアサイクル)を活用したインバウンドで成功するためには、いくつかのポイントをおさえることが大切です。
レンタサイクル(シェアサイクル)の使用マナーを多言語化する
万が一、自転車による事故やトラブルが起きてしまうと大変です。
レンタサイクル(シェアサイクル)を外国人観光客に利用してもらう際には、使用マナーに注意してもらわなければなりません。
国によって「左側通行・右側通行」など、交通ルールが違うことや「自転車通行禁止区域」などに対しても理解が必要です。
交通ルールやマナーを守り安全に利用してもらうためにも、使用マナーを多言語化し、外国人観光客の自己管理を徹底してもらいましょう。
観光地やアクティビティとセットプランにする(サイクルツーリズム)
サイクルサービスを活用したインバウンドでは、先述したようなサイクルツーリズムが人気です。
ツアーを企画する際は「人気のある観光地をメインにしたパターン」や「サイクリングをメインにしたパターン」など、ターゲット層に合わせたプランを考案しましょう。
利用方法(料金など)をわかりやすくする
シェアサイクルの場合、基本的にアプリによる管理となるため、料金などの利用方法の説明は不要となりますが、現地を訪れた外国人観光客がその場でレンタサイクルを利用したい場合など、急な来客の場合でも対応できるように、利用方法や料金設定などをわかりやすく、多言語で説明した表などを準備しておきましょう。
公式サイトやSNSを活用して発信する
多くの外国人観光客が、旅行のリサーチに公式サイトやSNSを活用しています。
特に、SNSから発信される情報の影響力は大きいため、景色が綺麗な観光スポットを売りにしている場合は、写真とともに積極的にSNSで発信しましょう。
レンタサイクル×インバウンドで活用できる英語フレーズ

レンタサイクル×インバウンドで活用できる英語フレーズを紹介します。
レンタサイクルの注意事項
- レンタサイクルを利用する際は、身分証の提示が必要です。
Presentation of your ID is required to rent a bicycle.
- 車道の左側を通行してください。
Be sure to ride on the left side of the road.
- 歩道は歩行者優先です。
Give way to pedestrians on sidewalks.
- 交差点では一時停止してください。
Temporarily stop at intersections.
- ヘルメットを着用してください。
Wear a helmet.
- 夜間の走行はライトを点灯してください。
Use a light when riding at night.
- 二人乗りは禁止です。
Do not ride double.
- 一列で走行してください。
Ride in single file.
- 傘差し運転やイヤホンを着用しながらの走行は危険(禁止)です。
Riding with an umbrella or while wearing headphones is dangerous and prohibited.
観光地の紹介
- ガイド付きで美しい日本の里山をめぐるサイクリングもご案内できます。
Guided tours are available to enjoy Japan’s beautiful rural villages.
- 滋賀県の琵琶湖は、日本最大の面積と貯水量をもつ湖です。サイクリングもできます。
Lake Biwa in Shiga Prefecture is Japan’s largest lake and a popular cycling destination.
レンタサイクルのメリットを紹介
- レンタサイクルは、効率的に寄りたい場所に立ち寄ることができます。
Renting a bicycle is an efficient way to visit sites you want to see.
- レンタサイクルは、健康的にもよく、リフレッシュできます。
Renting a bicycle is a healthy, refreshing way to get around.
料金システムの説明など
- レンタサイクルには、普通自転車と電動アシスト付き自転車があります。
Bicycles available for rent include regular bicycles as well as electric bicycles.
- 当店のレンタサイクルは1日〇〇円で借りられます。
Our bicycles can be rented for 〇〇 yen per day.
- ガイド付きレンタサイクルツアーは、午前と午後の1日2回です。
Guided bicycle rental tours are offered twice a day—one in the morning and one in the afternoon.
レンタサイクル×インバウンドで必要な翻訳は翻訳会社に任せよう

インバウンド対応・対策では、多言語対応など、翻訳が必要となる場面が多くなります。
いくら企画やコンテンツが充実していても、伝わる英語(多言語)でなければ世界中の人に魅力が伝わりません。
インバウンドで必要な翻訳は、ネイティブによるプロの翻訳会社に任せましょう。
まとめ
レンタサイクルやシェアサイクルなどのサイクルサービスは、外国人観光客からの需要も高くなっています。
特に、レンタサイクルと観光を融合したサイクルツーリズムの人気は今後ますます増えていくでしょう。
ポイントをおさえたインバウンド対策で、サイクルサービスを活用したインバウンドを成功させましょう。

翻訳監修
セス ジャレット:Seth Jarrett
カナダ出身。翻訳会社のアイ・ディー・エー株式会社に13年以上在籍。翻訳者のクオリティーチェックから英語のリライトまで幅広く対応。自らパンやスイーツをつくる料理人でもある。