外国人観光客には体験型宿泊施設が人気?!時代に合わせたインバウンド対策とは

日本へ訪れる外国人旅行者の目的として、以前は買いものやさまざまな土地を団体で巡る観光がメインでした。

しかし現在は爆買いも落ち着き、表面的に広範囲の観光地を巡るだけでなく、その土地で体験できる「コト消費」に人気が集まっています。

インバウンドの関心が移っている今、外国人観光客を集客するためには、体験型施設の充実がキーポイントになるでしょう。

ここでは、インバウンド向け体験型施設とはどのような施設か、そしてどんな内容が外国人観光客に人気なのかなどを詳しく解説します。

体験型宿泊施設は外国人観光客に人気

日本へ観光・レジャー目的に訪れる外国人観光客は、訪日回数が2回以上のリピーターが年々増えており、2016年から2019年には約1.6倍に増えています。

香港や台湾からの観光客の訪日回数に目を向けると、10回以上のヘビーリピーターの割合が高くなっています。

【参考】国土交通省官公庁

初めて日本に訪れる場合は、さまざまな場所に行き、広く浅く観光したいと考える観光客が多いようです。

一方、訪日回数が何度目かの観光客には、表面的な観光だけではもの足りなさを感じやすいため、一歩踏み込んだその土地特有のイベント、たとえば伝統工芸を自らつくるなどの体験型サービスに人気が集まっています。

特別感のある体験は思い出として深く残るため、旅行者の高い満足度に繋がります。

興味が深まれば同じ土地をまた訪れたいという気持ちになるため、リピーター増加にも期待ができるでしょう。

体験型宿泊施設とは

以前の宿泊施設といえば、観光地に向かうための寝泊まりの場所で旅の通過点という側面が大きかったですが、旅のスタイルが変わった現在では、ホテルや旅館が旅の目的地となり、さまざまな体験ができる宿泊施設が人気を博しています。

インバウンド向けの体験型宿泊施設には以下の2種類があります。詳しく見ていきましょう。

  • 宿泊と体験ツアーがセットになったプランを用意している

見学や体験ができる工場は、郊外にあることが多く、個人で訪れるには交通費がかかります。

さらに個人では予約もできない施設が多いため、宿泊と工場見学などの体験施設がセットになっているプランは人気です。

  • 宿泊施設に体験施設が併設されている

ホテル内にそば打ち体験や陶芸ができる体験施設を併設したり、ハンドメイドなどのワークショップを開催したりする宿泊施設もあります。

地方の温泉旅館などでは、その土地特有の伝統工芸品づくりなどが盛んに行われており、インバウンドに人気です。

できあがった作品はお土産として持ち帰ることができるため、旅行客の満足度は高まるでしょう。

一方、ホテルや旅館側からすれば、ほかのホテルとの差別化が図れるため、集客を増やす効果が期待できます。

閑散期に講師を招いて集客を狙うなど、プランやスケジュールを立てやすいこともメリットも一つです。

宿泊者が体験を行うためには完全予約制、少人数制を取り入れることが多く、密を避ける風潮のある時代にも合っているといえます。

個性的な体験ができる宿泊施設は、インバウンドだけでなく遠方への旅行を控えている地元の人を呼び込むためにも有効なため、集客アップに効果的です。

「体験型宿泊施設」が人気な理由

高価なホテルに泊まれば非現実的な体験はできますが、それだけ費用はかさみます。

高級ホテルや豪華客船でのクルージングで最上級のサービスを受けることは憧れではあるものの、何度も気軽に利用できるものではありません。

一方、旅館でそば打ち体験ができる体験型宿泊施設であれば、思い出に残る体験ができるだけでなく、日本ならではの食文化にも触れられて比較的安価に泊まることができます。

宿泊施設で貴重な体験ができる環境は、国内旅行を楽しむ日本人にも魅力に感じられるため、日本人観光客の集客アップにも繋がりやすいでしょう。

外国人観光客に人気な体験プラン例

日本に来たら「日本でしかできない体験をしたい」と考える外国人観光客は少なくありません。

たとえば

  • 座禅体験
  • 和菓子づくり体験
  • 茶道体験
  • 伝統工芸づくり体験
  • 工場見学ツアー
  • 着物着付け体験

など日本の伝統文化の体験は多くの外国人に人気があります。

そのほか

  • 田植体験
  • グランピング
  • ハイキング

などの自然体験も人気です。

一見どの国でもできるのではと思われますが、富士山など日本でしか見られない絶景を眺めながら体験できるアクティビティは、日本でしかできない特別な体験として選ばれます。

さらに日本には四季があるため、四季のない国からの観光客にとっては

  • お花見
  • 紅葉狩り

など四季折々の体験も貴重です。

マンガやアニメ文化は世界的にも人気のため、

  • コスプレ体験
  • メイドカフェ体験

などのサブカルチャー体験を望む旅行者も多くいます。

体験型宿泊施設としての魅力を伝えるためには

国内外の観光客に注目される体験型宿泊施設には、以下の2つが大切な要素となります。

  • 体験型プランの企画
  • 情報発信

体験型プラン(ツアー)の企画

体験型宿泊施設にとって、体験できる内容は非常に重要なポイントとなります。

その土地特有の伝統工芸や食文化などを体験できるプランは外国人観光客だけでなく、初めてその土地を訪れる日本人にとっても魅力的に感じられるでしょう。

体験前に、その土地に関連のある歴史などを説明することで、より体験の理解を深め、価値も高まります。

体験後には記念撮影や参加した人だけがもらえる記念品などを用意すれば参加者の満足感がさらに高まり、帰国後に話題にしてもらえる機会に繋がるでしょう。

注意点としては、主催者側としては伝統をしっかり伝えるためにいろいろ詰め込みすぎてレベルを高くしがちです。

参加者が難しすぎてついていけないレベルにするとストレスになってしまうため、初めてでも誰もが楽しいと思えるレベルの体験ができるようサポートや工夫を施しましょう。

また、プランを企画する際は、客観的な目線をもつことやその土地になじみのない人を交えて考えていくのがおすすめです。

地元の人にはあたり前のことでも、違う場所に住んでいる第三者からすると新鮮で魅力的なことを発見しやすくなります。

情報発信(WebサイトやSNS)

SNSは旅行場所を決める際はもちろん、魅力的な体験をした時や旅行後の思いで写真をシェアする際にも世界中の人が活用しています。

旅行先で素敵な体験をすれば、SNSでほかの人に教えたい・自慢したいという気持ちになる人は多いものです。そのよう人間の心理を利用しましょう。

着物や浴衣の着付け体験だけでなく、たとえば日本を感じられるおしゃれなフォトスポットをホテル内に用意すれば、周囲に見せたくなって自然と写真をシェアしてくれるかもしれません。その写真を見た世界中の人から注目されれば、大きく集客に繋がります。

SNSは現代の旅行業界にとっては欠かすことのできないマーケティングツールです。

多言語対応

外国人観光客はさまざまな国から日本に訪れるため、もちろん日本語を理解できない旅行客が大多数です。

世界中から日本に訪れるため、英語だけでの情報発信では不十分です。

中国語や韓国語、ヨーロッパからの訪日に備えてスペイン語やフランス語などの多言語に対応していることで、旅行客に安心感を与えるだけでなく、スムーズな対応にも繋がります。

このような充実した対応は旅行後も長く印象に残るため、「また訪れたい」というリピーター獲得にも効果的です。

体験型宿泊施設に必要な翻訳業務はプロに任せよう

体験の内容によっては、写真やイラスト、動画をあらかじめ用意しておくことで多少は対応できるでしょう。

しかし、外国語に不慣れなスタッフが辞書やアプリなどを使って翻訳を行なったしてもと十分に伝わらないケースも多々あるでしょう。

体験を滞りなくスムーズに進めるためにも、対象言語のネイティブ翻訳者による伝わる翻訳を用意することが大切です。

まとめ

旅行の形態は、ショッピングなどの「モノ消費」からその土地特有の体験ができる「コト消費」へと関心が移っており、その流れに合わせて多くの地域では体験型宿泊施設の充実が望まれています。

外国人観光客に注目される体験は特別な施設や資格が必要なわけでなく、その土地に長く生活している人にとってあたり前のことが旅行者にとっては特別な場合もあります。

言葉の問題など、自社で対応が難しい場合には外部に依頼することも検討し、地元の魅力を国内外の観光客に発信できる宿泊施設を目指してみてはいかがでしょうか。