新型コロナウイルスの水際対策として停止していたインバウンド旅行客の受け入れ制限が、2022年10月11日からほぼコロナ禍前の状態に戻りました。
日本の水際対策が緩和されることを受け、各国では日本への旅行の予約や問い合わせが相次いでおり、以前の活気を取り戻すことが期待されています。
訪日外国人受け入れ再開!ホテルがすべき対策・準備とは
観光庁が2018年に実施した訪日外国人旅行者に対するアンケートによると、日本への旅行時に「多言語表示の少なさ・わかりにくさ」で困っている人が16.4%であり、「施設等のスタッフとコミュニケーションがとれない」「無料公衆無線LAN環境」「公共交通の利用」に次いで多くなっています。
【参考】訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート結果|観光庁
多言語表示を増やすことで外国人旅行者の満足度を上げることができます。
ホテル内での多言語表示も見直してみて、取り組めるところがないか確認してみましょう。
宿泊施設(ホテル)内掲示物の多言語対応
先述した観光庁のアンケート結果によると、「フリーWi-Fi」や「両替」「クレジットカード・デビットカード(支払い方法)」について困ったことがある旅行者が多いことがわかります。
ホテル内でのWi-Fiについての説明や、両替案内について、掲示物や案内を多言語対応にしておくと外国人旅行客にとってもわかりやすく親切です。
特にフリーWi-Fiを使うことを前提に旅行に来ている観光客は多く、Wi-Fiが使えなければ、連絡手段や調べる手段が断たれてしまうため、すぐにわかる位置に多言語で案内を置いておくことが好ましいでしょう。
WEBサイトの多言語対策
ホテルのことを詳しく知ろうと思ったときに、多くの人はホテルの公式のWEBサイトを検索します。
検索をして出てきたWEBサイトが日本語版のみで、多言語対応されていない場合、写真でのイメージでしか情報が伝わりません。
必要な情報がすぐに手に入らないWEBサイトとなるため、顧客を逃してしまう可能性があります。
グローバルに情報を伝えるために、多言語対応のWEBサイト作成は重要です。
新型コロナウイルス感染予防対策
新型コロナウイルス感染症への対策が引き続き求められています。
感染予防対策の実施はもちろん大切ですが、「実施していることを伝える」ことも同じく大切です。
お客様に対策の協力を求める掲示物の作成や、従業員がどのように対策に取り組んでいるかを盛り込んだものが多言語で準備されていると安心です。
必要な掲示物等を準備していないとどうなる?
必要な準備や対策を講じていないとどうなるのかをみていきましょう。
顧客満足度が下がる
日本のおもてなしに対する期待は、世界の中でも有名なほど高いといえます。
しかし、日本語が理解できない観光客にとっては、多言語対応していないことは減点ポイントです。
最高のおもてなしが受けられると思って日本へ訪れたのに、実際に宿泊してみたら「コミュニケーションが取れずに困ることが多かった」なんてことにもなりかねません。
いくら接客がよかったとしても、必要な情報やサービスが得られなくては満足度が下がってしまいます。
対応に時間がかかる
多言語対応にすべき掲示物などが事前に準備されていない場合、まず問い合わせが増えます。
臨機応変に外国語で対応できるスタッフであれば、その場で情報を伝えることができますが、外国語で対応ができないスタッフが問い合わせを受けた場合には、対応できるスタッフを探し、状況共有をして、対応できるスタッフは手を止めて外国語対応に向かうという流れとなります。
問い合わせをしたお客様にとっても待ち時間が発生し、ホテルスタッフにとってもさまざまな業務が止まるため非効率です。
できる限り、見ただけで理解ができる多言語化された掲示物を準備しておくことが好ましいでしょう。
ホテルが準備しておくべき多言語対応掲示物とは
多言語対応が必要であると考えられる、ホテル内の掲示物をフレーズ集にしました。
ぜひ参考にしてみてください。
コロナ感染対策について
新型コロナウイルス感染症対策では、ホテルにてどのような取り組みをおこなっているか、また宿泊者への対策のお願いなどの掲示が必要となります。
- 従業員は新型コロナウイルス感染症予防対策のためマスクを着用させていただきます。
Employees wear masks to help prevent the spread of COVID-19.
- 館内ではマスクの着用にご協力ください。
We ask for your cooperation in wearing a mask in the hotel.
- こまめな手指の消毒にご協力ください。消毒用アルコールはロビーと各部屋にございます。ご自由にご利用ください。
We ask for your cooperation in disinfecting your hands frequently. Alcohol-based disinfectant is available in the lobby and every room. Please feel free to use it.
- 体調がすぐれない方や、発熱している方は宿泊をご遠慮ください。
Please refrain from staying overnight if you are not feeling well or have a fever.
フリーWi-Fiや両替について
フリーWi-Fiや両替はホテルを頼りにしている観光客が多く、案内がなければ問い合わせに時間が割かれることが予想されます。
あらかじめ掲示物を作っておくことでお互いにとってメリットがあります。
- フリーWi-Fiはロビーと各部屋でご使用いただけます。
Free Wi-Fi is available in the lobby and every room.
- フリーWi-Fiのパスワードはルームキーに記載されています。
The free Wi-Fi password is on your room key.
- 両替はフロントにて承ります。ご遠慮なくお申し付けください。
Currency exchange is available at the front desk. Please feel free to ask us.
支払い方法について
日本でも急速にクレジットカード利用のできる施設が多くなりましたが、まだ現金対応のみの施設もあり、支払い方法についても記載があると安心して過ごせます。
- 宿泊料金のお支払いは現金またはクレジットカードにて承ります。
Payment for your room charge is accepted in cash or by credit card.
- 当ホテルではクレジットカードの利用ができません。あらかじめご了承ください。
Please note that credit cards are NOT accepted at this hotel.
翻訳は翻訳会社へ依頼しよう
掲示物の翻訳は、利用者に満足してもらえるよう、正しい文章で作成しておくことが大切です。
ホテルスタッフの中だけでも作成できるかもしれませんが、作成に時間がかかることや、間違いのダブルチェックにまで時間や人を割くことが難しい点が問題になるかもしれません。
時間や手間をかけずに良いクオリティの掲示物を作成したい場合は翻訳会社に依頼することをおすすめします。
また、翻訳会社の中には多言語への翻訳のみでなく、掲示物の作成まで一括で依頼できる場合もあります。
そのうえ、一度に複数の言語に翻訳することもできるため、より多くの人に使いやすい掲示物の作成が可能です。
掲示物の作成をおこなう場合には翻訳会社も検討してみてください。
まとめ
ホテルが準備すべき掲示物とフレーズ集について説明しました。
掲示物が多言語化されているだけで問い合わせが減るだけでなく、お客様の満足度向上にもつながります。
ぜひ多言語化した掲示物を準備して、外国人観光客を新しいおもてなしでお迎えしましょう。
翻訳監修
セス ジャレット:Seth Jarrett
カナダ出身。翻訳会社のアイ・ディー・エー株式会社に13年以上在籍。翻訳者のクオリティーチェックから英語のリライトまで幅広く対応。自らパンやスイーツをつくる料理人でもある。