2022年6月10日より、約2年ぶりに、外国人観光客の受入れが再開しています。
当面は全行程で添乗員の同行が必要となるため、添乗員が注意すべき対策が多くあります。
この記事では、外国人観光客の受入れに際して、ツアー添乗員が行う対策と、対策に使えるフレーズ集を紹介します。
外国人観光客の受入れ再開
2022年6月10日の外国人観光客の受入れ再開に先立ち、同月7日に観光庁から「外国人観光客の受入れ対応に関するガイドライン」が発表されています。
その中では、特に旅行業者やツアー添乗員がすべきことが多く挙げられています。
添乗員がツアー中に行うべき対応
「外国人観光客の受入れ対応に関するガイドライン」の中では、感染防止対策の実施が不十分であると添乗員が判断した場合には、添乗員の指示に従う必要があると記載されています。
つまり、感染防止対策については添乗員が国の方針や周囲の状況を見極めたうえで、判断や呼びかけをおこなう責任があるといえます。
ツアー実施中における必要な対応
ツアー添乗員はツアー開始時に参加者に対して感染防止対策の遵守に関する説明をしておく必要があります。
感染防止対策の説明はツアー客の特性(国や言語)に配慮し、より分かりやすくするためにイラストなどを用いることも効果的でしょう。
特にマスク着用の考え方については、海外と日本での必要性が異なっており、ツアーの場面ごとにマスクの着脱を含め、必要な感染防止対策についてこまめな声かけや注意喚起をおこなうことが必要です。
現在、日本国内でも熱中症予防の観点から、会話をしないときや、屋外で十分に距離を取れる場合にはマスクを外してもよいという考え方が広まっています。
ツアー添乗員は常に最新のマスク着用の考え方について理解しておきましょう。
また、ツアー中には、他にも感染対策にかかわる特別な場面が生じることが予想されます。
マスクが不要と考えられる例
- 入浴時
- 屋外でのアクティビティ
- 空いている場所での散策
上記のようにマスクの着用が不要とされる場面もありますが、人との接触がある場面ではマスクを着用することが必要となります。
そのため、添乗員はこまめにマスクの着脱に関して声かけと注意喚起を行う必要があります。
また添乗員は、ツアー参加者に対し、発熱やせき、倦怠感などを含む新型コロナウイルス感染症を疑う症状がある場合には、漏れなく報告をするように伝えておきましょう。
また、陽性者発生時には濃厚接触者の特定などを適切に行う必要があるため、ツアー参加者の行動履歴(利用した施設、交通機関およびその座席など)を的確に把握しておきましょう。
具体的な対策例
留意すべき場面として、食事の場面では感染防止対策がされているお店を選んだうえで、大声での会話を控えるように注意する必要があります。
また、混みあう施設内で過ごす場合には、マスク着用のうえ、会話を控えるように伝えることも必要です。
口頭での説明のみでは理解が不足する場合もあるため、感染防止対策に関するリーフレットや動画などを活用し、感染防止対策についてしっかりと理解してもらいましょう。
また、万が一陽性者が出た場合にも、ツアー参加者が濃厚接触者となることを最小限におさえるため、飲食店や交通機関利用の際には座席配置を固定のグループにし、配慮しておくとよいでしょう。
参考:観光庁公式ホームページ 外国人観光客の受入れ対応に関するガイドライン
外国人観光客を対応する添乗員の英語対策
外国人観光客と同行するツアー添乗員が使える英語のフレーズを感染対策、体調不良対応に分けて紹介します。
感染対策について
感染対策に関して使えるフレーズを紹介します。
マスクの着用に関しては、先述のとおり場面によって必要な場合と不要な場合があります。
熱中症などの危険も伴うため、屋外でのアクティビティなどでは人と人との距離を保ったうえで、マスクを外しておくように伝えることも必要です。しかしながら、人との接触がある場合にはマスクをつける必要があることも改めて強調しておきましょう。
- 熱中症予防のため、必要がなければ屋外ではマスクを外しておきましょう。
Remove your mask when not needed outdoors to prevent heat stroke.
- 人と会話をするときには屋外でもマスクを着用してください。
Please wear a mask while talking even when outdoors.
- 混雑する場所ではマスクをして、会話は控えましょう。
Wear a mask and refrain from talking while in crowded areas.
- 公衆浴場を利用の際には会話は控えましょう。
Refrain from talking when using the public bath.
引き続き基本的な感染防止対策として手指の消毒も必要です。
施設やお店に出入りする際には体温測定と手指の消毒を促しましょう。
- 新型コロナ感染防止のため、入店/入館時には体温測定と手指の消毒をお願いします。
To prevent the spread of COVID-19, please check your body temperature and sanitize your hands before entering the shop/restaurant/facility.
- 商品を選ぶ前後に手指の消毒をしましょう。
Sanitize your hands before and after touching products in the shop.
体調不良について
発熱やせき、倦怠感など体調不良を感じたときは、必ず報告してもらう旨を伝えましょう。
体調を伝えてもらう際には下記のようなフレーズが役立ちます。
- 発熱や咳などの風邪症状、体調がすぐれない方はスタッフにお声がけください。
If you are experiencing cold-like symptoms such as a fever or cough, or if you are feeling unwell in any way, please speak to the staff immediately.
- 健康状態を確認する場合がございます。
Please note that we may ask details about your current health condition.
翻訳は翻訳会社へ依頼しよう
感染予防対策のガイドラインに則して作る説明書や、ツアー行程表などは参加する観光客に合わせて、英語だけではなく、中国語(繁体字・簡体字)や韓国語、場合によってはその他の言語にも翻訳することをおすすめします。
さまざまな言語での翻訳をGoogle翻訳などの機械翻訳や外国人スタッフの力を借りて自力で翻訳する方法もありますが、表現を正しく伝えるためには翻訳会社への依頼が最も好ましいでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
外国人観光客のツアー再開により、ツアー添乗員が留意することがたくさんあります。
トラブルなく旅行を楽しんでもらいながら、添乗員自身の安全も確保するために、感染予防対策にしっかり協力してもらえるように準備を整えておきましょう。
翻訳監修
セス ジャレット:Seth Jarrett
カナダ出身。翻訳会社のアイ・ディー・エー株式会社に13年以上在籍。翻訳者のクオリティーチェックから英語のリライトまで幅広く対応。自らパンやスイーツをつくる料理人でもある。