海外ユーザーをターゲットとする越境ECでは、英語翻訳に力を入れるのがおすすめ。
ページの作りこみ方次第で、ショップの売り上げを大きく左右することとなります。
本記事では、越境ECを翻訳すべき理由や、翻訳する方法などを解説します。
それぞれの方法のメリット・デメリットにも触れているため、越境ECをはじめる際にはぜひ参考にしてみてください。
越境ECとは?

越境ECとは、世界各国のユーザーをターゲットとするECサイト・モールのことを指します。
通常のECは、自国の消費者に向けて商品を販売しますが、越境ECの場合は海外に在住する消費者に向けてアプローチします。
もともと大きな市場である越境ECですが、スマートフォンの普及によって、その市場規模は急成長。
さらにコロナ禍によるインバウンド需要の減少によって、多くの企業が越境ECをスタートしていたりと、今大注目のビジネスモデルです。
越境ECの市場規模
先ほども説明した通り、スマートフォンの普及がきっかけとなり、越境ECでの購入額は右肩上がりです。
経済産業省が発表している「日本・米国・中国3カ国の越境ECの市場規模」を参照してみると、越境ECの市場規模は日本だけではなく、アメリカ・中国でも起こっていると分かります。
【引用】「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」-経済産業省
また次の表は、『国(地域)別の越境ECの利用度』のデータです。
【引用】「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」-経済産業省
まだまだ日本人の越境ECの利用率は低いものの、世界的にみると越境ECの利用はスタンダードとなっていることもデータから読み取ることができます。
このように越境ECは、今後より一層の市場の成長が予測される注目の市場です。
越境ECの特徴
越境ECは国内ECと異なり、商圏が絞られないことが何よりの特徴です。
以下の表で、その特徴から生まれるメリットを、ユーザー・企業側の両面からまとめています。
ユーザー | 企業 |
・商品の価格が(店舗で購入するよりも)安い
・自国では入手できない商品がある ・新商品や興味深い商品を発見できる |
・自国よりも高い価格で販売可能
・自国では売れない商品が海外では売れる ・見込み客が世界中にできる |
上記のようにみてみると、ユーザー・企業にとってもメリットが数多く、越境ECの市場が成長するもの納得といえるでしょう。
対応は基礎会話レベルの英語
越境ECでは、幅広くターゲットを狙える英語を使用することが一般的です。
ただ越境ECを始める際にネックとなるのが、”英語力”でしょう。
しかし基本的な対応は、基礎会話レベルの英語ができさえすれば十分だといわれています。
むしろシンプルな英語を使った方が、伝わりやすいこともあります。
ユーザーから、商品や配送についての問い合わせが届くこともありますが、そういった質問事項は似通っています。
迅速に対応できるように、よくある質問とそれに対する回答をテンプレ化しておけば、十分対応が可能です。
またテンプレ化しておくことで、スピーディーな対応が可能となり、ライバルと差別化できるというメリットも生まれます。
特にECモール内にショップを構える場合、ほかのショップと同じ商品を販売することも珍しくないため、素早い対応でユーザーからの信頼を勝ち取りたいところ。
越境ECに英語翻訳が必要な理由
先ほども述べたように、越境ECには基礎会話レベルで十分といわれていますが、ショップの効果的な運用には、サイト内の英語翻訳を行う必要があります。
<英語翻訳すべき理由>
1.認知度と信頼性の向上が図れる
2.購買意欲を高めることができる
次に理由1・2について、詳しく解説します。
認知度と信頼性の向上
海外ユーザーに商品を販売する第一歩は、まずブランド・商品を知ってもらうことです。
しかしサイトの英語翻訳がいまいちで、意味が伝わらなかった場合、認知度はいつまでたっても向上しません。
せっかく自社サイトに新規ユーザーが流入する機会があっても、よく分からない文章ならば、ユーザーはサイトからすぐに離脱してしまいます。
同時にサイトを訪れたユーザーに対する、信頼性のアピールも、商品の販売には欠かせません。
ECサイトでは、クレジットカードなどの個人情報を入力する必要があるため、あまり知られていない海外のショップでの買い物には不安がつきものです。
もしもサイト内の文章が不自然な翻訳だった場合、「詐欺サイトではないか?」といった不信感を与えてしまう可能性もあるため、注意が必要となります。
購買意欲を高める
また翻訳の精度が高ければ、ユーザーの購買意欲を高めることも可能です。
商品ページで、ただ商品のサイズや重量を羅列するのではなく、特徴やアピールポイントなどを記載してみましょう。
写真とともに、魅力的な説明文を掲載することで、ユーザーの購買意欲を高めることが可能です。
その際、ターゲットに合わせた言葉選びができれば、より高い効果が得られるでしょう。
越境ECサイトを英語翻訳する方法

越境ECを英語翻訳する方法は、以下の4通りです。
1.機械翻訳
2.クラウドソーシング
3.翻訳会社
4.越境EC運営代行会社
機械翻訳
機械翻訳は、Google翻訳などの翻訳ツール・アプリを使用する方法です。
ひと昔前の機械翻訳の翻訳精度は、正直にいってあまり良くありませんでしたが、ここ数年のAI技術の発展により、その精度はぐんと向上しました。
機械翻訳ならば、翻訳者とのやりとりや修正といった細かな手間を省くことが可能です。
社内でサイト内の翻訳が完結できるため、かなりスピーディーに翻訳が行えることが大きなメリットとなります。
ECモール・サイトは、イベントやキャンペーン開始までのスケジュールがタイトになりがちなため、相性が良い方法ともいえるでしょう。
ただし、翻訳者や翻訳会社に依頼したものと比べてしまうと、文章が固かったりと不自然な部分もでてきてしまいます。
そのため予算に余裕があるならば、有料サービスを使用する方がおすすめです。
専門用語の用語データベースを活用できれば、よりクオリティの高い翻訳となります。
クラウドソーシング
つぎに紹介する方法は、クラウドワークスやランサーズといった、クラウドソーシングサイトを利用する方法です。
クラウドソーシングサイトでは、仕事を依頼したい企業と、仕事を受注したいフリーランスやプロの翻訳者とが、オンライン上でマッチングすることができます。
越境ECに強みを持つ翻訳者に依頼すれば、海外SEO対策を意識した文章に翻訳してもらうことも可能でしょう。
依頼にかかる金額は翻訳者ごとに大きく異なり、やはり優秀な人ほど報酬が高くなる傾向にあります。
ただし、翻訳会社に依頼する場合の金額よりかは、費用を抑えられることが一般的です。
依頼するまでに過去実績や得意分野を調べたり、場合によってはテストライティングを行ったりと、一定のクオリティと引き換えにやや手間がかかる方法といえます。
翻訳会社
翻訳会社に依頼する方法が、最も翻訳精度が高いです。
ネイティブ、もしくはネイティブに匹敵する英語力を持つ翻訳者によって翻訳されるため、自然な文章となります。
ユーザーがストレスなくサイトを回遊できるため、滞在時間・購入率のアップが期待できる方法です。
その分費用はかさむため、新商品がでるたびに商品ページを翻訳してもらうような使い方には不向きです。
メインページやコーポレートページなどの重要なところだけ、といったピンポイントの翻訳を依頼する方法もおすすめです。
越境EC運営代行業者
越境EC運用代行業者に、まるまる業務を任せてしまう手段もあります。
ネイティブスタッフ・多言語を離せる日本人スタッフが窓口となり対応してくれるため、越境ECをこれからスタートする事業者にとっては、非常に心強い見方といえます。
マーケティングや関税などの煩雑な手続きまで、かなり幅広く業務を任せることが可能です。
どの業者を選ぶかで、ショップの売上が大きく変わってくるため、慎重に業者選びを行う必要があります。
まとめ
今回は越境ECを翻訳すべき理由や、英語に翻訳する方法を紹介しました。
越境ECにおいて、海外ユーザーの認知度・信頼度を獲得し、商品の販売につなげるには、英語への翻訳がかかせません。
どの方法で翻訳するとしても。一長一短です。
予算内でいかに高い精度の翻訳にできるかが、越境ECでの成功の鍵となるでしょう。

翻訳監修
セス ジャレット:Seth Jarrett
カナダ出身。翻訳会社のアイ・ディー・エー株式会社に13年以上在籍。翻訳者のクオリティーチェックから英語のリライトまで幅広く対応。自らパンやスイーツをつくる料理人でもある。