中国や中華圏における旧正月「春節」は、最も大切な休日とされており、2022年の春節は2月1日です。
今回は、2022年の春節期間と、ビジネスにおける注意点や春節の伝統的な過ごし方について説明します。
春節とは?

春節とは中国、中華圏における旧正月です。
中国では最も歴史の古い伝統ある祭日であり、その歴史は紀元前1600年まで遡るとされています。
新年に神や祖先を祀ることが由来となっており、春節にまつわる伝説もたくさんあります。
旧暦が基準となっているため毎年日程が変わりますが、毎年1月下旬から2月上旬にかけて1週間ほどの休日になる年が多く、近年では中国内外問わず旅行に出かける人も増えています。
中国の旧暦とは
春節は中国の旧暦である農暦における新年です。
中国の大きな祭りや祝日の多くはこの農暦を基準にされています。
中国の農暦では月と太陽の両方を基準とし、1か月は「月が地球を1周する期間」、1年は「地球が太陽を1周する期間」と考えられています。
ずれが生じるため、数年に1度「閏月」を設けて1年を13か月とする年もあることが特徴です。
2022年の春節は2月1日

2022年の春節は2月1日で、振替出勤日は1月29日(土)と1月30日(日)です。
春節期間中は企業や学校は1週間ほどのお休みとなります。
そのため、中国の企業とやりとりしていたり、ECサイトを利用する場合は注意が必要です。
また春節前後は非常に混みあうことが予想されるため、対応が遅れることもあります。
問い合わせや注文をおこなう場合にはスケジュールに余裕をもたせておきましょう。
連休期間
2022年の春節期間は1月31日(月)~2月6日(日)です。
各日に呼び名があり、以下のように呼ばれます。
1月31日(月) | 除夕(チゥーシー) |
2月1日(火) | 春節(チュンチエ) |
2月2日(水) | 初二(チューアー) |
2月3日(木) | 初三(チューサン) |
2月4日(金) | 初四(チュースー) |
2月5日(土) | 初五(チューウー) |
2月6日(日) | 初六(チューリィゥ) |
徐夕は日本でいう大晦日です。
春節が旧正月当日、そこからは初二、初三…と続いていきます。
旧正月から15日目の元宵節の日までお祭りムードは続きます。
春節の過ごし方

春節は一家団欒で過ごすのが一般的とされています。
春節の伝統的な過ごし方や近年の新しい過ごし方について詳しく見ていきましょう。
春節のご馳走
春節の前日「除夕」には家族が揃ってさまざまなご馳走を食べます。
毎年いい収穫があるという意味の「年年有余」と同じ発音の「年年有魚」をかけて、魚料理は欠かせません。
また、水餃子を食べる風習があり、これは日本でいうところの「年越しそば」のようなものです。
餃子を食べるのは、餃子の形が「元宝」という中国の昔の貨幣に似ているからで、富をもたらすという意味が込められています。
縁起物を飾る
逆さ福字
逆さまになっている「福」の文字を見たことがある人は多いのではないでしょうか。
中国料理のお店などではよく見ることができる縁起物ですが、これは「福が逆さまになる(福倒了)」と「福が来る(福到了)」が同じ発音であることから、福が訪れますようにと願いを込めた縁起物となっています。
赤提灯
春節から旧歴正月15日の元宵節の期間、玄関や部屋に大きな赤い提灯を灯します。
赤色は「福を招く最高におめでたい色」とされており、また大きな提灯は「繁栄や幸福」を表すとされています。
金柑の木
日本のお正月の門松にあたるのが、金柑の木です。
たくさん実のなった金柑の枝に「紅包」という赤いご祝儀袋をぶら下げて玄関やベランダ、店頭などに飾ります。
中国語では金柑を金桔と書き、それぞれ「金→財」「桔→吉」を意味することから、金柑は吉祥と富をもたらす縁起の良い木だとされています。
爆竹・花火で厄除け
爆竹は中国では春節やお店の開店祝いなどで盛大に焚かれるますが、その昔、竹を割って日に投げ入れることで災いをもたらす怪獣を追い払った伝説から厄除けとして使われています。
また花火を打ち上げて爆竹と同様に大きな音で邪気を追い払うという考えもあるようです。
中国の打ち上げ花火は日本の花火大会のように大きなものとは違い、個人で打ち上げられる小玉のものを派手に打ち上げます。
ただし、近年では大気汚染などの影響や火災への懸念から爆竹や花火を規制する動きも広がっています。
文化行事
春節には神事芸能である獅子舞が登場します。
獅子は「駆邪と降福」を象徴する想像上の動物で、中国では五穀豊穣を願う農民によって広められ、今ではお祝いには欠かせない伝統芸能となっています。
また元宵節の日には「龍灯」という龍舞の行事があり、獅子舞同様に春節の文化行事として楽しまれています。
龍舞の起源は雨乞いのために龍の踊りを待ったからだとされています。
お年玉
中国でも日本と同様にお年玉が存在し、一般的には社会人になれば子どもに渡すこととなります。
中国ではお年玉を「圧歳銭」といい、「歳」と「祟」が同じ発音であることから、子どもを襲う祟りを抑え、1年を平穏に過ごすことができるという信仰からきています。
また、お年玉を渡す際には必ず「紅包」という赤いご祝儀袋に入れるのが風習です。
この紅包はお年玉だけでなく、結婚のご祝儀や、出産祝いなど、お祝いでお金を渡す際にはいつでも使われる袋です。
渡す額は必ず偶数である必要があり、コインは入れることができません。
偶数には「良いことは対になる(割り切れる)」という意味が込められています。
海外旅行
本来は家族団欒をして過ごすのが一般的な春節ですが、近年では長期休暇がとれる貴重な機会として海外旅行をして過ごす人も多くなりました。
目的地として日本の人気が高く、春節の時期に多くの中国人観光客が来日し、春節に爆買いする様子も記憶に新しいのではないでしょうか。
また旅行に来る際も、家族と一緒にという人が多いようです。
まとめ
今回は、2022年の春節の期間や、春節の過ごし方、ビジネス上の注意点について説明しました。
春節の時期には中国全体がお祭りムードで長いお休みとなります。
日本から中国企業のサイトにアクセスしたり、発注などの業務連絡をおこなう際には春節の休みに被らないようにするなどの工夫が必要です。
うっかりしていて納期や期日に間に合わないということがないように気を付けましょう。

翻訳監修
セス ジャレット:Seth Jarrett
カナダ出身。翻訳会社のアイ・ディー・エー株式会社に13年以上在籍。翻訳者のクオリティーチェックから英語のリライトまで幅広く対応。自らパンやスイーツをつくる料理人でもある。